今回は、電鋳製ピンポイントゲートブッシュを紹介します。
ピンポイントゲート用のゲートブッシュは、ゲート先端部の磨耗が発生した際に、部品交換をすることだけで容易にメンテナンスができる標準部品です。
ところで、射出成形加工におけるサイクルタイムは、ピンポイントゲート部の冷却時間が大きな影響を与えています。ゲート部が太いと冷却時間が長くかかりますので、できるだけ細い方が冷却時間を短くすることができます。
しかしながら、細いゲート形状を切削加工や放電加工でゲートブッシュに加工することは困難であり、ゲート部の内面を精密に磨くことも困難になります。
ゲート部の内面の表面粗さがきめ細かく仕上がっておりませんと、ゲート部の固化したプラスチックがブッシュから抜ける際に、離型不良を起こす危険性があります。
そこで、このような不都合を改善するために「電鋳」によりゲートブッシュを製造する方法が採用されています。
電鋳は、金属製マスターをあらかじめ製作しておいて、その表面に化学的な方法でニッケル合金を析出させる方法です。ゲート部となるマスターは、ピン形状ですので、その表面粗さをきめ細かく研磨することは比較的容易に可能です。このようにして製作されたマスターを用いて電鋳することにより、ゲート部内面がきめ細やかなブッシュを製作することが出来ます。
表面粗さがきめ細やかですと、ゲート部のテーパー角度がたとえ小さくても、離型不良を起こす心配が低減されますので、細いゲートを実現することができるようになります。
このような利点がありますが、反面、ニッケル合金製であるために、熱処理された合金工具鋼のように硬さが硬くありませんから、耐磨耗性には劣る点があります。したがって、ゲート部の寿命を考慮して採用をご検討されるのが上手な利用方法となります。
■電鋳:ニッケル合金製
- PGEBシリーズ
- PGEシリーズ
- PGETシリーズ(ツバ付き)
■電鋳:高硬度ニッケル合金
- PGKBシリーズ
- PGKシリーズ
- PGKTシリーズ(ツバ付き)