ベアリングは用途に応じて予圧する必要がある。予圧の目的を解説すると共に、予圧方法まで解説する。
ベアリングを予圧する目的
ベアリングは適当な内部すきまを持って使用される。また用途によっては取り付け時にあらかじめラジアル荷重などを加えて用いる場合がある。このような使い方を予圧とよび、アンギュラ玉軸受などに適用されることが多い。
その使用事例を図1に表す。
図1.使用事例
使用用途によっては予圧をかけることが必要である。例えば図1の場合予圧をかけないと、ハウジングに取り付けたベアリング間で軸方向に0.1mm~0.2mのガタが生まれる。ベアリングに予圧をかけることでその誤差を無くし、位置決め精度を上げることができる。
以下5つの目的のいずれかを満たすため、ベアリングに予圧をかける。
- ・回転軸の振れの抑制
- ・軸剛性の向上
- ・位置決め精度の向上
- ・振動と異音の抑制
- ・高速回転への適応
予圧をかけることで、軸方向とラジアル方向のすきまが無くなる。荷重がかかってもすきまが発生しにくくなるため、軸剛性が上がる。さらに回転体の振れを抑制でき、回転精度が良くなる。
軸剛性が上がることで、回転体への振動と異音を抑制できる。さらに高速回転にも適用できるようになる。また予圧をかけることで、外部振動によるフレッチングや転動体の滑りによるスミアリング(微小焼付き)が予防される。
予圧には適正量がある。適正量を間違えると、軸方向とラジアル方向のすきまの大小どちらかで「ベアリング寿命の低下」、「異常発熱」、「摩擦トルクの増大」、「異音発生」などのトラブルが発生する。これらのトラブルを防ぐため、予圧量に注意が必要である。
ベアリングにはJISやISOで精度別で等級が決められている。等級には0級を普通等級として、2級まで(全5種類)ある。
ベアリングの予圧方法
ベアリングに予圧をかける方法は大きく分けて以下の2種類がある。
表1.ベアリングの予圧の種類
定位置予圧 | 定圧予圧 | |
---|---|---|
予圧方法 | 間座、ボルト、ナット、 幅差分を調整した組合せベアリング |
コイルばね、皿ばね |
メリット | 高い軸剛性 | 熱膨張や振動でも安定した予圧量を維持できる |
定位置予圧は、間座などを使用して予圧をかける方法である。比較的大きな予圧量をかけることができるので、高い軸剛性が得られる。旋盤やフライス盤など、回転体に負荷がかかるところで多く使用している。
定圧予圧は、ばねを使用して予圧をかける方法である。ばねの伸縮で熱膨張や振動を吸収するので、予圧量が常に安定している。電動機や押出機など、振動や発熱が多いところに多く使用している。
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精度(JIS)から探す | 等級0 等級4 等級5 | |
荷重方向から探す | ラジアル スラスト | |
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