ベアリングの正しい取り外し方法を知れば、軸やベアリングを極力傷つけずにベアリング交換が可能となる。また、交換作業のために必要な加工を部品の設計に盛り込める。そのための、ベアリングの取り外し方法・工具等について解説する。
ベアリングの取り外し方法
一般的なベアリングの取り外しには、以下3種の方法がある。
- ・治具を使用する(内輪を外す)
- ・プレス機を使用する(内輪を外す)
- ・ハウジング側からベアリングに外力をかける(外輪を外す)
図１のように軸にはまったベアリングを外すには、治具を使用する方法がある。
図1.ベアリング取り外し治具使用例
爪を内輪の幅面にひっかけ、ねじを回して回転体を押し下げる。これにより、爪にかかっている内輪がひっぱられてベアリングが外れる。
プレス機を使用する方法もある。当て金を使用し、内輪の幅面に取付ける。回転体をプレス機で押すことでベアリングを外す方法である。この方法を使用するには、軸形状に適したプレス機があることが前提で、また当て金を作成する必要がある。 外輪を外すには、ボルトや押し棒でハウジング側から押し出す方法がある。
事前に取り外し用のタップ穴をハウジングに設け、そこにボルトや棒を挿入してベアリングを外す。しかし、この方法を使用するには、設計段階でハウジングの外輪幅面に合わせて複数のタップ穴加工しておく必要がある。
ベアリングの取り外し工具
ベアリングの取り外しには、2種類の工具がある。一般的な名称として「ギアプーラ (汎用治具)」と「ベアリングプーラ (専用治具)」と呼ぶ。
図2.ベアリング取り外し治具外観写真（プーリ抜き治具（プーラ））
汎用治具では、ベアリングだけでなくギアやプーリも外せる。爪の腕に支点軸があるため、軸を支点にして爪を大きく開くことできる。外径が大きい部品を外すのに向いている。
専用治具は、ベアリングやギアを外すための工具である。爪の腕をスライドさせて掴む径を替えることができる。主に外径が小さい部品を外すのに向いている。
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