ベアリング選定のポイント（選定概要）

ベアリングの選定には、知っておくべき5つのポイントがある。この記事ではベアリングの選定ポイントを1つずつ解説する。

• 使用条件を把握する
• ベアリングの種類と配列を決める
• ベアリングの寸法を決める
• ベアリングの精度を決める
• 使用環境に応じた材質などを決める

使用条件を把握する

まずベアリングを選定するために、以下の表１に記載する使用条件を把握することが重要。

表1.使用条件

ベアリングの種類と配列を決める

使用条件を元に、ベアリングの種類と配列を選定する。
主にベアリングに加わる力と方向が、ラジアル荷重のみか、スラスト荷重があれば一方向か両方向か、などからベアリングの種類を選定する。 また必要であれば複数のベアリングの使用とその配列を検討する。
例えば一般的なベアリングである『深溝玉軸受』は、主にラジアル荷重を支持するベアリングであり、大きなスラスト荷重を支持できない。これがある場合はスラスト荷重も支持できる『アンギュラ玉軸受』を選択するか、スラストベアリングと組み合わせて配列を検討することになる。

ベアリングの寸法を決める

一般に機械設計においては軸径が先に決定しており、ベアリングの寸法は、内径(=軸径)から決定する。このためベアリングの寸法系列は内径基準で標準化されている。この中から許容荷重と許容回転数を考慮し、使用条件に合ったベアリングを選定する。

許容荷重と許容回転数を考慮するのには、以下2つの理由がある。

1. ・許容荷重を超えるとベアリングが破損する
2. ・許容回転数を超えるとベアリングが異常発熱を起こす

どちらもベアリングの寿命に関わるので、かならず許容値を守ることが重要である。
例としては「深溝玉軸受」で許容荷重が不足している場合、「円筒ころ軸受」への変更を検討してみるなどのベアリングの種類を変更することも必要である。

ベアリングの精度を決める

精度はJISやISOで規定されており、等級によって「寸法精度」と「回転精度」が決まっている。0級を普通等級とし、精度の高さは以下の表のようになっている。必要に応じた等級を選定する。

表2.精度と等級について

回転軸の振れ精度を高く要求される機械装置には精度等級5級以上の軸受を使用する。また高速回転の機械装置においては、ベアリングにおける振動や摩擦熱がその寿命に大きく影響するため、精度の高いベアリングを選択する必要がある。

使用環境に応じた材質や潤滑方法などを決める

以下3点を使用条件に応じて決める。

1. ・シールド(密封装置)の有無
2. ・内外輪の材質
3. ・潤滑剤

一般的にベアリングにはシールドが無い。これを「開放型」と言う。シール ドには外部へ潤滑剤が漏れるのを防止すると同時に、ゴミや水分の 内部への侵入を防止する機能がある。
内外輪の材質や潤滑剤は、使用条件に応じたものを選定する。
粉塵や水中の使用などで、シールドやステンレス材などが使用されている。

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