アーク | ガスおよび電極物質の蒸気中の放電。すなわち、電極間にガス体を介して低電圧で大電流が流れ、高温で強い光を発する。 |
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アンダカット |
溶接の止端に沿って母材が掘られて、溶着金属が満たされないで溝となって残っている部分。この溶接欠陥は一般的に、溶接棒の保持角度、溶接速度の不適当、電流の高すぎなどによって生じる。 |
開先 |
グルーブとも言い、溶接する母材間に設ける溝。すなわち、溶接するための空間として設ける母材中または2つの母材の間につくられる溝または間隔で、溶接作業を容易にし、または溶接継手の性能を向上させるために設ける。 |
ガス切断 | ガス炎で加熱し、金属と酸素の急激な化学反応を利用して行う切断。酸素ーアセチレン切断、酸素ー水素切断、酸素ープロパン切断、酸素ー天然ガス切断などの総称。 |
逆火 | バックファイヤとも言い、ガス炎が突発的に火ロの中に逆行する現象(トラブル)。逆火により炎が消失したり、自動的に再点火することもある。 |
クレータ | アーク溶接のビードの終端にできるくぼみ。なお、溶接中に溶融池の一部がアークカなどによって掘られてくぼんだ部をクレータと言うことがある。 |
黒皮 | ミルスケールとも言う。高温空気中で加熱された鉄鋼表面に、厚く成長した酸化物層。 |
高圧 ガス容器 |
高圧ガスボンベやボンベとも言い、アセチレン、液化ガスなどの高圧ガスを充てんするための金属製容器で、高圧ガス保安法に準拠した構造の物。容器内の高圧ガスの種類を識別するため、容器の肩または全面に下記に示す所定の色が塗られている。 ・酸素ガス=黒色 ・水素ガス=赤色 ・液化炭酸ガス=緑色 ・液化アンモニア=白色 ・液化塩素=黄色 ・アセチレンガス=かっ色 ・その他の種類の高圧ガス=ねずみ色 |
スパッタ | アーク溶接、ガス溶接、ろう接などにおいて、溶接中に飛散するスラグおよび金属粒。主として溶接アークの安定性に関連し、不安定なアークほどスパッタは多くなり、スパッタの一部は母材表面に固着し、これは除去しなければならない。スパッタが多いと溶接作業を著しく困難にする。 |
スラグ (ノロ) |
溶接部に生じる非金属物質。すなわち、溶接ビードの表面を覆う非金属物質で、被覆材のうちでガス発生物質以外のフラックスや分解生成物がスラグとなる。 |
スラグ除去 | 溶接後、ビードの上にかぶったスラグを溶接ハンマーを用いて取り除くこと。 |
たれ | 片面溶接の場合に開先を突き抜けて、また両面溶接の場合、すでに肉盛りされた側の溶接金属を突き抜けて飛び出した余分な溶接金属。 |
トーチ | ガス炎、ガスシールドアーク、プラズマアークなどを利用して金属、その他の材料の加熱、溶接および切断を行うときに用いる器具。用途によって溶接トーチ、切断トーチなどと呼び、ガス炎を用いる場合には吹管、ブローパイプとも言う。 |
パス (溶接パス) |
溶接継手に沿って行う1回の溶接操作。つまり、グルーブ内、溶接金属の上、あるいは母材表面を溶接する場合の1回当たりの溶接操作。パスの結果できたものがビードあるいは肉盛金属である。※グルーブ=開先 |
火口 | ガス溶接・切断トーチの先端にあって炎をつくる部分。溶接火口、切断火口などがある。 |
ビード | 溶接ビードとも言い、1回のパスによってつくられた溶接金属または溶着金属。 |
プラズマ アーク |
機械的・電気的に収束させたプラズマ性を持つアークで、高密度の熱を発生させるために用いられる。 |
プラズマ | 電子(または負イオン)と正イオンの濃度が等しく、空間電荷はゼロであるようなイオン化されたガス状媒質。すなわち、気体を数千度の高温に加熱すると、その中のガス原子が原子核と電子に遊離して、正負のイオン状態になる。これをプラズマと言う。 |
プラズマ 切断 |
プラズマアークの熱および気流を利用して行う切断。つまり、小孔径の冷却ノズルによって拘束された高温高速のプラズマ気流によって、母材を溶融、除去して行うアーク切断。各種金属のほか、コンクリート・耐火材料など高融点の非金属の切断にも適している。 |
棒径 | 被覆アーク溶接棒の心線の直径。 |
溶接アーク | アークの発生する熱で電極の一方を形成する母材、棒状、ワイヤ状、帯状などの電極と母材の両者を溶融して溶接するために利用する場合を言う。直流アークと交流アークに大別される。 |
溶接速度 | 溶接ビードを置く速度。つまり溶接アークが継手線に沿って移動する速さを言い、1分間当たりの長さで表される。(単位はcm/min) |
溶接トーチ | 半自動アーク溶接ワイヤが自動的に送給されるアーク溶接に用いられ、溶接電流およびシールドガスの供給を行う手操作の器具(トーチ)。 |
溶接 ヒューム |
ヒュームとも言い、溶接または切断時の熱によって、蒸発した物質が冷却されて固体の微粒子と なったもの。有害物質である。 |
溶接棒 | 棒状の溶加材の総称。被覆アーク溶接棒と裸溶接棒に大別される。 |
溶接の種類
アーク溶接 | 母材と溶接棒または電極との間にアークを発生させ、その熱を利用して行う溶接の総称。 |
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アーク スタッド溶接 |
スタッド溶接とも言い、ボルト・丸棒などの先端と母材との間にアークを発生させ、溶融池の中に 押しつけて行う溶接。 |
ガス溶接 | ガス炎の熱で行う溶接。ガス炎としては主に酸素ーアセチレン炎が用いられる。 (このため酸素アセチレン溶接と称される) |
自動 アーク溶接 |
溶接ワイヤの送りが自動的にでき、連続的に溶接が進行する装置を用いて行うアーク溶接。 サブマージアーク溶接とガスシールドアーク溶接などは、自動溶接方式として広く利用されている。 |
スポット溶接 | 点溶接とも言い、重ね合わせた母材を先端が適当に成形された電極の先端で挟み、比較的小さい部分に電流および加圧力を集中して、局部的に加熱し、同時に電極で加圧して行う抵抗溶接。 |
半自動 アーク溶接 |
半自動溶接とも言い、溶接ワイヤの送りが自動的にできる装置を用い、溶接トーチの操作は手で行うアーク溶接の総称。被覆アーク溶接などに比べて、溶着速度が大きく高能率である。炭酸ガスアーク溶接、マグ溶接、ミグ溶接、ティグ溶接などがそうである。 |
被覆 アーク溶接 |
被覆アーク溶接棒を用いて行う溶接。すなわち、被覆アーク溶接棒を電極として行うアーク溶接。手溶接の代表的なもので、半自動アーク溶接や自動アーク溶接に比較して溶接操作が簡単であるが、溶接能率は低く、溶接の品質が作業者の技量に大きく左右される。 |
参考文献
『図説 溶接技術用語集』中井多喜雄著・1999年・日刊工業新聞社
ココミテvol.2より参考