プラチェーン選定手順
仕様・設計条件の確認
1. 搬送条件の確認
- 搬送物の材質、表面状態
- 搬送物の質量
- 搬送物の形状及び外形寸法
- 搬送物の搬送形体
2. 搬送条件の確認
- 搬送速度、搬送物の間隔、荷重状態
- アキュームレート(コンベヤ上に滞留する)の有無
- チェーン搬送面の潤滑有無
3. 搬送経路の確認
- 直線ラインか、曲線が入るか
- コンベヤの心間距離(スプロケット間の距離)
- 搬送状態(水平か傾斜か)
- 作業及びメンテナンススペース
4. 使用環境及び搬送物の特性
- 温度、湿度、水分、油分等の条件
- 設置場所及び設置場所周囲の清浄度
(周囲からの異物混入、内容物の漏れ、輻射熱、ゴミ等) - チェーン、スプロケット、レールの耐食・耐薬・耐油性
チェーンの張力計算
プラチェーン搬送装置のレイアウトに応じた張力の計算を行います。
下記リンク先を参照してください。
記号の説明
- F =チェーン張力
- Fs =安全係数
- Fp =起動・停止トルクの負荷係数
- Ft =温度係数
所要動力の計算
プラチェーンコンベヤを動作させる為に必要な動力(P)
記号の説明
- F =チェーン張力
- V =速度
- η =機械効率
プラチェーン搬送装置の設計注意点
1.チェーンについて
a. 許容張力
ミスミプラチェーンは、型式で最大許容張力が決められています。最大許容張力以内であれば使用可能ですが、チェーンの寿命を延ばす為にも余裕を持った設計を行ってください。
b. 温度による伸縮
プラチェーンは、温度により寸法が変化します。使用可能な温度の範囲内であっても下記の事が発生する可能性がありますのでご注意ください。
・ 高温環境の場合
周辺及び環境温度の影響で、チェーンのピッチが伸びる事が想定されます。特に機長が長すぎる場合、歯とびを起こす原因にもなります。また、ピッチの伸びで脈動が大きくなる可能性があります。上記、問題を防止する意味でも通常より短いレイアウトにする、高温となる装置の縁切りを行うなどの処理をお願いします。
・ 低温環境の場合
温度の低下と共にチェーンのピッチが縮みます。初期設定でのチェーンの弛み量が不足していると負荷変動によって脈動が発生する場合があります。
材質名 | 線膨張係数(105/℃) |
---|---|
FKポリマー | 16 |
CH-10 | 9 |
M90-44 | 12 |
NW-02 | 12 |
ユニチカナイロン6 | 3.1 |
c. 脈動について
チェーンは、多角形の回転運動の為に脈動(ノッキング)は常に発生しております。脈動を小さくする為には、下記対応を行う必要があります。
- 駆動での機長を短くする
- カーブレイアウトの場合は、抵抗の少ないコーナーディスクを使用。
※ ミスミのコーナーディスクは、スプロケットとディスクが同期して動きます。
選定手順に関して
本ページ記載は、チェーンの使用可否を算定する手順です。
チェーンの荷重伸び、脈動、雰囲気環境その他想定できない要因を加味したものではありません。
プラチェーンコンベヤ設計資料
プラチェーンの参考レイアウト
■トップチェーンレイアウト参考
■プラブロック・プラカバーチェーンレイアウト参考
- 1) チェーンの弛み量とリターンローラの間隔
戻り側チェーンを受けるリターンローラの間隔は450 ~ 900として、弛み量は40㎜から100㎜を目安に調整をしてください。
この弛みにより歯とびを防止しております。場合により、リターンローラの間隔B・C・Dは等間隔を避ける事により、共鳴を減らす考慮をする必要があります。 - 2) 戻り側受けについて
戻り側チェーンを受けるプレートには、チェーン上面の傷付きを保護する為の方法を行ってください。
この時、保護材として樹脂プレートを採用する方法が一般的ですが、樹脂プレートに金属粉等が食い込み、それが原因となりプラチェーン上面に傷がつく事があります。周辺の清浄度に注意してください。 - 3) チェーンのかみ合いの角度
駆動スプロケットとかみ合いの角度は140度以上になるように調整を行ってください。
■戻り側でのレイアウト参考
・リターンローラを使用する場合
動作張力がチェーンの許容値の半分程度の場合
動作張力がチェーンの許容値の半分を超える場合
もっとも一般的なレイアウトです。
- チェーンのスプロケットの巻き付け角度は140度以上にしてください。
- リターンローラの回転性に注意してください。
リターンローラが回転しにくい場合は、局部的に搖動が発生し、トッププレートの偏摩耗を生じる可能性があります。
リターンローラの回転がチェーンの動きに追従しにくい場合は、ベアリング付ウレタンローラ等をご選定ください。 - D寸法は、スプロケット外形/2以下にしてください
・ガイドレールのみを使用する場合
安価な方法ですが、摺動によりトッププレートに傷がつく場合があります。バックベンド半径が比較的大きいチェーンに適しております。
目安の寸法
A:100㎜以下
B:400㎜から900㎜
・支持しない場合
- 戻り側のチェーン質量による張力が振動の原因となる場合があり、搬送が円滑でなくなる場合があります。コンベヤの機長が長い場合は避けるようにしてください。
- 従動側にはテイクアップ機構を取り入れてください。
- チェーンが伸びた場合は、テンション調整やチェーンの切りつなぎを行い、チェーンとスプロケットの巻付き角度を140度以上の状態で保つようにしてください。