成形収縮
- 射出成形に使用される熱可塑性樹脂(Thermoplastic resin)は、金型の中に加温されて液状になった状態でキャビティ内へ注入されて、金型の表面に接触することで熱量を奪われて冷却され、固化します。 このときに、液体のときの体積は、固化する際に体積収縮を起こして縮みます。この現象を「成形収縮」と呼んでいます。英語ではshrinkageと言います。 成形収縮は、プラスチック射出成形品を作る上では大変重要な物理現象です。所望の寸法や形状の射出成形品を生産するためにはこの物理現象を的確に理解しなければなりません。 さらに、射出成形金型の設計や機械工作をする際には、成形収縮を考慮した寸法と寸法公差でキャビティなどを作る必要があります。 成形収縮は、熱可塑性樹脂の種類によって大きく範囲が決定されます。つまり、樹脂の種類によって収縮率は左右されます。しかし、樹脂の種類以外にも以下の要素を考慮しなければなりません。
- プラスチックは、大別して熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂があります。読者のほとんどは、熱可塑性樹脂の射出成形金型た成形加工に携わっていると思いますが、最近では熱硬化性樹脂の射出成形加工も行われるケースも増えてきています。 基本的な事項ですが、熱硬化性樹脂と熱可塑樹脂ではその性質が大きくことなっています。これらを整理してもう一度復習を図りたいと思います。
- 熱可塑性エラストマー(TPE、Thermo Plastic Elastmer)は、射出成形が可能なゴム状の成形材料で、各種の用途で実用化されています。 熱可塑性エラストマーには、いくつかの種類があって、特性ごとに応用分野が異なってきます。 以下に主な種類と特性を紹介します。
- プラスチック射出成形金型を設計するためには、使用する成形材料の特性を十分に知り尽くすことが重要です。 特に微妙な品質管理を必要とする成形品の場合にはなおさらです。 成形材料の特性データは、材料メーカーが提供する樹脂データと、実際にユーザーが使用による蓄積で得たデータがあります。 成形材料の特性データの中では、以下のファクターが重要です。 (1)成形収縮率 成形品の寸法を、ねらい通りのばらつき範囲内に抑えるためには、実用的な成形収縮率データが必要になります。 成形収縮率は、下記要因によって左右されます。 成形材料の種類 キャビティ表面温度 射出圧力 保圧の作用状況 ゲート位置 成形品の肉厚 流動方向 ガラス繊維等 これらのデータは成形条件を固定して、試験金型や実際の金型を使用して、サンプルを採取することが実務的です。
- 前回説明しました、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について、追加をしたいと思います。今回は、エンジニアリングプラスチック(通称エンプラ)をまとめています。 別表には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。より詳しくは、成形材料メーカーより、グレードごとの材料カタログや技術資料を入手して、意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。 ■主要なプラスチック材料の成形収縮率一覧表<2>
- プラスチック射出成形金型の設計をするためには、成形収縮率の決定が重要であることはすでに説明をしましたが、今回は、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について説明をしたいと思います。 【表1】には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。 より詳しくは、成形材料メーカーよりグレードごとの材料カタログや技術資料を入手して意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。
- 熱可塑性プラスチックの射出成形加工では、成形収縮現象を利用して所望の寸法の成形品を得ることができます。成形収縮とは、金型のキャビティ内部に充填された溶融樹脂が、冷却されて固化する際に、体積が収縮する現象のことです。 この収縮する度合いを「成形収縮率」と呼んでいますが、成形収縮率を科学的かつ経験的に正確に知っていれば、金型のキャビティの寸法を収縮する分だけ一回り大きく製作しておくことにより、ねらい通りの寸法の成形品を成形加工することができます。 成形収縮率の値は、一般的には2/1000〜20/1000程度(0.2〜2%程度)の数値の範囲となります。 成形収縮率をα(アルファ)という記号で表現しますと、下記の【式1】で定義されます。