射出成形用部品
- 透明なプラスチック材料の中でユニークな特性を持つ新素材として、環状オレフィンポリマー(COP)があります。 COPが現在多用されている分野は、レンズ、導光板などの光学用途と医療、検査容器用途が挙げられます。この分野は現在最も安定して成長している産業分野であり、COPの消費量も急成長しております。 COPが多用される背景にはその特徴となる物性があります。 1.光学特性 PMMAに比較して、全光線透過率92%と高く、さらに400nm付近の透明性に優れるグレードが量産されています。また、屈折率が安定していて光学部品用途に最適です。光学特性に優れるということは、電池の消耗を抑えて長時間の発光に寄与できるという機能があると読み替えることができるのです。 2.低不純物 合成樹脂には、その合成過程においてさまざまな不純物が微量に含まれています。しかし、COPは、不純物が非常に少なく、クリーンな存在です。したがって、検査機器や医療器材関連などに安心して使用できるので、ワンウエイ器材に多用されるようになってきています。 3.軽量 COPの比重は0.95~1.01と軽量です。さまざまな機器の軽量化に寄与します。タグ:
- 射出成形機の仕様は、機械メーカーによって異なっているのが普通ですが、実際には機械のサイズや大きさ、能力をメーカーごとに比較しておくことが、実務的には重要になります。 射出成形機の仕様を比較するためには、以下の仕様を確認しておくと良いでしょう。 ・機械名 ・スクリュー直径 ・射出容量 ・可塑化能力 ・射出圧力 ・射出率 ・型締力 ・型締方式 ・型締ストローク ・タイバー間隔 ・デイライト ・ダイプレート寸法 ・機械寸法 ・機械重量 ・駆動方式 ・ノズル径 ・ノズル先端SR ・エジェクタロッド径 ・付属取り出し機型式 ・購入年月日 ・累積ショット数 ・特殊仕様 これらの仕様をエクセル等の表計算ソフトで一覧にしておくと、金型設計をする上での頭の中の整理が短時間で的確に行うことができるようになります。タグ:
- ポリカーボネイトは、透明なエンジニアリングプラスチックで、耐熱性が高く、機械強度も強い熱可塑性樹脂です。CD-RやDVD、眼鏡レンズ、自動車のヘッドランプカバーなどにたくさん使用されています。強度や耐熱性など優れた特徴を有していますが、一部の薬品についてはソルベントクラックを生ずる場合があります。 射出成形加工にも適しており、世界中でたくさんの金型が設計製作されています。 ポリカーボネイトは、ABS樹脂などと混ぜ合わせてポリマーアロイとしても多用されており、特に携帯電話のカバーにはたくさん採用されています。 光沢や色彩もきれいで、多彩なカラーバリエーションに対応できます。 耐熱性に優れているので、医療用の機器類の高温消毒にも耐えられることから注射器関係などにも採用されています。 以下に、ポリカーボネイトの製造プロセスを示します。タグ:
- ポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレン樹脂(POM)とも呼ばれ、機械強度が強く、耐熱性も高く、自己潤滑性に富んだエンジニアリングプラスチックの代表的樹脂です。アメリカ合衆国Dupont社が世界で初めて商業化に成功し、現在ではプラスチック歯車、電子部品、自動車部品、精密機械部品などに幅広く採用されています。射出成形加工に適していますが、結晶性樹脂のため成形収縮率が大きく、寸法安定させるための金型設計に工夫が求められます。 ポリアセタール樹脂の製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著, P73, プラスチック技術読本,(株)工業調査会タグ:
- ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)は、電線ケーブルの被覆や雨樋、ホース、水道管などに多用されている熱可塑性樹脂です。射出成形も可能ですが、押し出し成形品が使用量としては多いです。 ポリ塩化ビニル樹脂の製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著, P66, プラスチック技術読本,工業調査会(株)タグ:
- アクリル樹脂(メタクリル酸メチルエステル)は、透明で強度が高い樹脂で、レンズやプリズム、自動車の反射板などにたくさん使われています。射出成形加工に適しています。 アクリル樹脂の製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著,P71,プラスチック技術読本,(株)工業調査会タグ:
- ポリスチレン樹脂は、炭素(C)と水素(H)とベンゼン環からなる熱可塑性樹脂です。 家電製品や玩具、文房具、プラモデルなどに多用されています。また、発泡させた発泡スチロールは緩衝材として世界中で多用されています。 射出成形加工に適しており、これまでにたくさんの金型が作られてきました。アクリロニトリルやブタジエンと共重合させたABS樹脂は、家電製品や情報家電製品にたくさん使われています。 ポリスチレン樹脂の製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著,P70,プラスチック技術読本,(株)工業調査会タグ:
- ポリプロピレンは、軽量で軟質であり、繰り返し曲げ疲労に強い樹脂材料です。耐薬品性にも優れ、自動車部品の内装やバンパーなど、食品容器類、家電製品などに幅広く採用されています。世界のプラスチック使用量がもっとも多い部類の樹脂です。 射出成形加工にも適しており、様々な成形品が開発されてきました。 ポリプロピレンの基本的な製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著,P69,プラスチック技術読本,(株)工業調査会タグ:
- 汎用樹脂の代表の一つがポリエチレン樹脂です。軟質で透明な樹脂材料で、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)の種類があります。 ポリエチレンは、基本元素が水素(H)と炭素(C)のみからなる素材ですが、天然には存在せず、人工的に作り出された高分子です。 射出成形加工やシート成形で膨大な量の成形品が生産されて世界中で活躍しています。 ポリエチレンの基本的な製造プロセスを以下に示します。 ※ 参考文献:桜内雄二郎著,P68,プラスチック技術読本,㈱工業調査会タグ:
- プラスチック材料は、水素、炭素、酸素、窒素などの原子が高分子状態に結合して成り立っていますので、有機溶剤などの薬品によっては溶解をする場合があります。成形品の使用環境によっては溶剤が関係する場合、成形品の表面が溶解し、クラック発生して破断したり、表面が侵されたりする場合があります。 プラスチック材料が溶解する目安となる指標としては溶解度パラメータというものがあります。これはSP値という指標です。SP値は、材料によってその値が知られています。 溶剤のSP値と近傍にある場合にそのプラスチックは溶解しやすいとされています。 主な材料のSP値を以下に示します。タグ:
- 人体の治療や手術には、金属やプラスチックなどの生体材料用素材が使用されています。これらの素材は、人体に無害、無毒であって、なおかつ長期間の信頼性の高い素材であることが必須です。また、素材から時間とともに溶出してくる物質によるアレルギー反応や素材に付着している微生物による細菌増殖の防止など、医学的な安全性の確保にも対応できることが必要です。このような安全性や信頼性は、長期間の臨床試験データによって証明されている必要があります。 現在、生体材料用素材としては、(1)金属(2)セラミック(3)高分子の3つの素材系が主として使用されています。以下に代表的な素材例を列挙します。タグ:
- プラスチック射出成形加工では、成形品を金型から確実に取り出せる必要があります。 射出成形加工の最大のメリットは、無人で量産加工ができる点になりますので、成形品がもし、金型の中に残ってしまうと、それを人手で取り出さねばならないとすれば、成形機の人員が常時必要になってしまい、無人加工ができず人件費が膨大にかかってしまうことになります。 万が一、成形品が金型に残ったまま金型を閉じてしまった場合、最悪のケースではキャビティやコアを破損して大きな経済事故につながってしまいます。金型を破損してしまうと簡単には修復ができない場合がほとんどです。ですから、成形品は100%金型から取り出せるように金型を調整しておかなければならないのです。 では、どうして成形品が金型の中に残ってしまうのでしょうか?成形品が金型の中に残ってしまう現象を離型不良(りけいふりょう)と呼んでいます。離型不良は、以下のような原因が絡み合って発生します。タグ:
- ポリ乳酸樹脂は、化石系素材を一切使用せず、植物系素材だけで生産が可能で、しかも廃棄後は天然の微生物の働きによって水と二酸化炭素だけに生分解させることができる理想の環境対応プラスチックです。しかし、以下のような疑問点が存在します。これらについては適切な情報がなかなか入手困難で、誤解を招くケースも多くあったようです。現時点で多くの関係者に支持されている説を紹介します。 Q1.ポリ乳酸樹脂はどうして素晴らしい素材なのに普及していないのか? A1.原因はいくつか考えられますが、一番の理由は原材料のコストがポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)やスチレン系樹脂(PS、ABSなど)と比較してまだ高いためだと考えられます。生産量がまだ少ないため原材料価格が高いのは仕方がありませんでした。しかし、石油価格の高騰、ポリ乳酸樹脂の生産量の急速な増加により、コスト差がだんだん小さくなってきています。その結果、原材料コストの問題は小さくなる方向で推移してきています。タグ:
- ポリ乳酸(Poly Lactic Acid, PLA)は、原材料を100%植物とする熱可塑性プラスチックで、射出成形加工や押し出し成形加工、ブロー成形加工が可能です。しかも、石油や化石系素材を一切使用しないで合成ができるプラスチックです。さらに、このプラスチックは、土中に廃棄すると、土中の微生物(バクテリア群)によって、それらが発する酵素によって水(H2O)と二酸化炭素(CO2)だけに完全生分解する優れた環境特性を持っています。 この樹脂は、10年以上前に既にその存在は確認されていましたが、工業的に大量生産する方法が確立されず、量産成形品に仕様されることはほとんどありませんでした。しかし、アメリカ合衆国のダウケミカル社とカーギル社の合弁企業であるカーギル・ダウ社がポリ乳酸の大量生産方法の開発に成功し、市販されるようになりました。現在は、同社は社名をNatureworks社と改称して事業を発展させています。タグ:
- 1.スクリュー回転数 プラスチック射出成形条件におけるスクリュー回転数は、ペレットを混練するためのスクリューの回転数のことです。単位はrpm(回/分)です。 スクリュー回転数が早すぎると溶融樹脂内にエアーを巻き込んでしまいガスが発生しやすくなる場合があります。またスクリュー回転数が遅すぎると十分な混練ができず材料品質がばらついてしまう場合が考えられます。 2.スクリュー背圧 スクリュー背圧は、材料の計量時にスクリューが後退する際の圧力をさします。単位は、MPa、またはkgf/cm2です。背圧の変化により材料の混練状態が変動します。 3.金型開閉速度 金型開閉速度は、金型の開く速度、閉じる速度のことで、単位はmm/sです。金型開閉時間は短いほうがサイクル短縮に効果的ですが、型閉速度が速すぎると金型が急激に衝突する危険性が高くなってしまうので直前でブレーキをかける必要があります。 また型開き速度が速すぎると離型の状態が変動してしまい品質を変動してしまう場合があります。タグ:
- 1.冷却時間 プラスチック射出成形条件における冷却時間は、成形品を金型内で固化させておく時間のことです。保圧が終了すると冷却時間に切り替わります。単位はs(秒)です。 冷却時間が短すぎると収縮が大きくなり寸法が小さくなってしまい、突き出し時に変形してしまう場合もあります。 一方、冷却時間が長いと成形サイクルが長くなり生産性が低下します、つまり成形品の加工コストが上昇することになります。冷却時間は成形サイクルの要素の中で最も支配率が大きな要素なので成形サイクルを短縮するためには冷却時間をいかに短くできるかが重要な鍵を握っています。 2.計量位置 計量位置は、スクリューやプランジャーが射出に必要な体積の樹脂を計量するための位置のことです。単位はmmです。 計量位置が短すぎると充填不良が生じます。計量位置が長すぎるとシリンダー内に余分な樹脂が滞留して焼けが発生したり、ガスが発生する場合があります。計量位置は成形品の射出体積を考慮して少なすぎず、多すぎない妥当な分量の樹脂を毎回計量できる位置を最善とします。
- 1.充填圧力 プラスチック射出成形条件において、充填圧力は、樹脂を金型内へ充填させるための圧力のことで、一次圧力とも呼ばれています。単位は、MPa、またはkgf/cm2です。つまり、圧力の単位となります。射出成形機の最大射出圧力を100%としてその何%であるかを変化させて条件調整をする機械もあります。(例:35%) 充填圧力が低すぎる場合には充填不良(ショートショット)が発生します。充填圧力が高すぎる場合にはパーティング面が圧力で瞬間的に開いてしまい成形品の周囲にバリが発生する場合もあります。また金型からの離型不良が生ずる場合もあります。 2.射出速度 射出速度は、金型内へ溶融したプラスチックを充填する際のスピードのことです。単位はmm/sとなります。 単位時間あたりの射出体積として考えた場合には「射出率」として表示する場合もあります、この場合には単位はcm3/sとなります。 射出速度が遅すぎる場合には充填不良が発生する場合があり、射出速度が速すぎる場合にはバリ、ジェッティング(成形品表面に蛇行した模様が発生する不良)が発生する場合があります。
- 1.射出成形機の成形条件 プラスチック射出成形機を操作して実際の射出成形加工をするためには成形材料、金型とを用いて成形品の仕様にマッチングさせた状態の成形品を加工しなければなりません。単純に金型内に溶けたプラスチックを射出注入し、固化させて取り出しただけでは、成形品の寸法は大きくばらつき、外観の光沢や転写もむらが生じ、均一な品質の成形品を得ることはできません。 所望の品質の射出成形品を得るためには射出成形機の「成形条件」と呼ばれている各種の調整パラメータを調節し、寸法や外観の品質をコントロールしながら仕様を満たすように条件調整作業が必要になります。 つまり、成形条件の調整の良し悪しによって金型から生産されるプラスチック射出成形品の品質は左右されるということになります。この条件調整のパラメータの調整範囲が広ければ品質仕様を変化させられる範囲も広くなり調整がしやすくなります。「金型の出来が良い」と一般に言われる場合にはこのような条件調整の幅が広いことが多いです。翻って考えれば、金型設計の際には成形条件の調整幅が広く設定できるような配慮をしておくことが大切であると言えます。例えば、冷却回路の流量が十分に確保できるように設計する、ガスベントを的確に設けて高速充填しても焼けが発生しにくく工夫する等です。
- 1.射出成形機の動力源 射出成形機の動力源としては、次に挙げる3つの方法が主に採用されています。 1)油圧式 2)電動式 3)ハイブリッド式 油圧式は、射出成形機が開発されてから現在まで最も多用されてきた方式です。油圧ポンプを電動モーターで作動させて供給される作動油の油圧により型開閉、射出等の機構を作動させます。高圧の型締め力を比較的容易に実現できるなどの利点がある反面、精密な制御が難しい、複数のアクチュエータを同時並行に作動させるのが困難等の不利な面もあります。 電動式は、CNC制御(コンピュータ数値制御)によるACサーボモーター(交流)で駆動させる方式です。この方式では作動油を一切使用しないで、正確な動作を実現可能で、しかもクリーンで静穏な作動ができます。消費電力も油圧式に比較して40~50%とランニングコストも低いメリットがあります。最近では型締め力2000トン級まで電動式が開発されており、350トン以下では今後はこの方式が主流になっています。 ハイブリッド式は、油圧式と電動式の双方を採用した方式で、それぞれのメリットを引き出すことを目的としています。射出側、可動側のいずれかを油圧式にするパターンが一般的です。タグ:
- 1.射出装置 プラスチック射出成形機の射出装置は、射出プランジャーやスクリューがシリンダー内を前進して金型内へ溶融したプラスチックを射出する装置です。 射出装置の性能は、射出率(1秒間に射出される溶融樹脂の体積、cm3/s)や射出速度(プランジャー前進速度、mm/s)で表されます。 スーパーエンジニアリングプラスチックの一部では射出率が大きな射出装置を使用しないと成形品の品質が損なわれてしまう素材があったり、逆に低速で安定した射出ができる射出装置が適しているプラスチックもあります。 どのような射出装置が適しているのかは使用する成形材料の種類に密接に関連していると言えます。 射出装置の先端部にはノズルが設けられていて、ノズルの最先端部は通常は球状に加工されていて、金型のスプルーブシュの球面の座に密着できるようになっており、射出時の樹脂漏れがしないように配慮されています。ノズルにはいくつかの種類があり、オープンノズル、シャットオフノズル、ニードル弁付きノズルなどがあります。タグ: