超硬ラジアスエンドミル(グラファイト)
- Question グラファイトの特性 グラファイトは、炭素を主成分とする粉末焼結体です。微小な炭素粒子が超硬材料のバインダーを削除するため、チッピングなどによる工具寿命の低下が懸念されます。 Answer 工具選定のポイント ダイヤモンドコートやDLCコートなどのコーティングが施された超硬合金工具を選んでください。 刃形状としては、すくい角が大きく、切れ刃のシャープな工具を選んでください。グラファイトは脆性材料のため、摩耗やチッピングによって切れ刃の鋭さが鈍るとワークに欠けが生じやすくなります。
- Question ラジアスエンドミルによる倣い加工のメリットは? 三次元形状の倣い加工に、ボールエンドミルではなくラジアスエンドミルを使用するという話を最近よく聞きます。ラジアスエンドミルを使うと具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。 Answer 切削条件の良化 ボールエンドミルの刃径は刃先Rの2倍ですが、ラジアスエンドミルの刃径は刃先Rの寸法に関係なく大きくすることが可能です。刃径が大きいと以下の点で切削条件が良化します。 刃径が大きいと工具剛性が高く、特に小径の場合たおれを小さく抑えることができ、安定した切削が可能です。また、実切削径が大きくなり速い切削速度で加工することが可能なため、加工面精度の向上や工具寿命の向上が見込めます。
- Question 小径のエンドミルがすぐ折損してしまい困っている 微細形状加工に小径のエンドミルを使用していますが、チッピングや折損が起こりやすく困っています。どのように対策をすればよいでしょうか? Answer 振れ精度 小径のエンドミルは剛性が低いため折損しやすい工具ですが、その原因の第一は、工具自体の振れや保持具により発生した振れの影響によるものです。 折損を防止するには、振れ精度の管理を徹底することが必要ですが、焼ばめホルダのように保持精度が高い保持具を使用することが有効です。 切削速度を上げて切削特性を高める 一般的にエンドミル刃先の切削特性は、十分な切削速度がなければ発揮されません。小径のエンドミルは、回転速度を上げても切削速度がそれほど上がらず、特にボールエンドミルの場合、実切削部の工具径がかなり小さくなるため、刃先の切削特性が十分に発揮されない状態で使用されていることが多くあります。小径のエンドミルを使用する場合は、実切削速度を意識した対応が必要です。
- Question エンドミル加工でのアップカットとダウンカットの違いはなんですか? また、どのように使い分けるのですか? Answer アップカットとは エンドミルの回転方向とテーブルの送り方向が、ほぼ相対して切り進む加工方向のことです。 切削量は最小から最大に切り進むので、刃が被削材に喰い込むまで滑る傾向です。 なので、擦り摩耗の進行が早く、加工硬化するステンレス鋼などはより顕著になります。 仕上面は良好で、テーブル送りのバックラッシュは影響しません。