アイアンラバー®ベルトはベルトに加わる負荷トルク(Nm)もしくは伝動容量(kW)をもとに選定します。
※アイアンラバー®はNOK株式会社の登録商標です。
選定条件
選定に必要な条件
・プーリピッチ径 | :dp(mm) | ・プーリの巻付け角 | :θ (°) |
・プーリ回転数 | :n(rpm) | ・負荷トルク | :Md(Nm) |
または伝動容量 | :P(kW) |
基本的には駆動プーリで選定してください。従動プーリが他にトルクを伝達している場合は、このプーリについても計算を行い厳しい条件側でベルトを選定してください。
例1) 動力伝動使用のうち、駆動プーリ径>従動プーリ径の場合、従動プーリでも計算してください。
例2) 従動プーリでローラを回転させている場合、従動プーリ側でも計算してください。
選定方法
[手順1]負荷トルク・伝動容量の補正
背面アイドラーの補正
●条件として伝動容量が与えられた場合
P = P0×(1+0.1×f)
P: 選定に使用する伝動容量(kW)
P0: 条件で与えられた伝動容量(kW)
f: 背面アイドラーの個数
●条件として負荷トルクが与えられた場合
Md = Md0×(1+0.1×f)
Md: 選定に使用する負荷トルク(Nm)
Md0: 条件で与えられた負荷トルク(Nm)
f:背面アイドラーの個数
[手順2]ベルト型式の選択
選定方法 2の簡易選定表(表6・7)を使いベルト型式を決定します。
●条件として伝動容量が与えられた場合
伝動容量とプーリ回転数からベルト型式を決定します。(表6参照)
●条件として負荷トルクが与えられた場合
負荷トルクと小プーリ歯数からベルト型式を決定します。(表7参照)
[手順3]プーリ歯数Zの決定
プーリ歯数を決定するときには最小プーリ歯数にご注意ください。(表1参照)
表1:最小プーリ歯数
回転数(rpm) | MA3 | MA5 | MA8 | AT5 | AT10 | T5 | T10 | MXL | XL | L | H |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
600 以下 | 18 | 15 | 20 | 15 | 15 | 12 | 14 | 12 | 10 | 10 | 14 |
720以下 | 12 | ||||||||||
900以下 | 22 | ||||||||||
1200以下 | 16 | 24 | 18 | 16 | 16 | ||||||
1800以下 | 20 | 20 | 26 | 16 | 20 | 14 | 18 | 14 | 12 | 14 | 18 |
3000以下 | 22 | 24 | 28 | 18 | 22 | 16 | 20 | 16 | 16 | 20 |
[手順4]ベルト歯数ZBの決定
<プーリ回転比が1:1でない場合>
ベルト長さからベルト歯数を求めます。
軸間距離(C)と大プーリ径(Dp)、小プーリ径(dp)からベルト周長(Lp)を決めてください。
C : 軸間距離
dp : 小プーリピッチ径(mm)
Dp : 大プーリピッチ径(mm)
Lp : ベルト周長(mm)
ベルト歯数(ZB)をベルト周長から算出します。
ZB : ベルト歯数
t : ベルトピッチ (ex.T10 > t=10)
<プーリ回転比が1:1の場合>
C : 軸間距離
t : ベルトピッチ
z : プーリ歯数
[手順5]かみ合い歯数ZEの算出
<プーリ回転比が1:1でない場合>
z2 : 大プーリ歯数
<プーリ回転比が1:1の場合>
ただし、右表2の最大有効かみ合い歯数が上限となります
表2:最大有効かみ合い歯数
ベルトタイプ | 最大有効かみ合い歯数 |
---|---|
ロングタイミングベルト | 6 |
オープンエンドベルト | 12 |
[手順6]最小ベルト幅bcの算出
選定方法 2の許容伝動容量・許容伝達トルクより、最小ベルト幅を算出します。
●条件として伝動容量が与えられた場合
表8(選定方法 2)の許容伝動容量(Ps)を使用します。
●条件として負荷トルクが与えられた場合
表9(選定方法 2)の許容伝達トルク(Mds)を使用します。
それぞれ算出した幅bcをこえる規格幅に決定します。
[手順7]軸間距離最小調整範囲の確認
取付けおよび張りしろを考慮し、軸間距離の最小調整範囲は下表を目安としてください。
表3:外側調整範囲
軸間距離(mm) | 外側調整範囲(mm) |
---|---|
600以下 | 5 |
600を超え1000以下 | 10 |
1000を超え1500以下 | 15 |
1500を超え2000以下 | 20 |
2000を超え2500以下 | 25 |
2500を超え3000以下 | 30 |
3000を超えるもの | 軸間距離×0.01 |
表4:内側調整範囲
型式 | 最大有効かみ合い歯数 |
---|---|
MA3, T5, XL, MXL | 5 |
MA5, AT5, L | 10 |
MA8, AT10, T10, H | 15 |
フランジ付プーリの場合はフランジ外径も考慮し、
調整範囲を大きくとってください。
選定上の注意事項
負荷トルクと伝動容量
負荷トルクと伝動容量は、安全を考えて使用するベルトに加わる最大の値で計算してください。
多本並列掛けの場合
・並列に掛けたベルトに負荷が均等に加わるのであれば負荷を本数で割った値で計算してください。
しかし負荷が不均一になる可能性があれば、1本に加わる最大の負荷で計算してください。
・ベルト張力やプーリアライメントは、ベルト一本ごとに調整できる構造にしてください。
アイドラーを使用する場合
・やむをえずアイドラーを使用する場合は、必ず緩み側に設置してください。
・アイドラーはなるべくベルトの内側に設けてください。
内側に設ける場合は最小プーリ歯数以上にしてください。
外側に設ける場合は下表に示した径以上のクラウンのない平プーリにしてください。
表5:最小アイドラー径
ベルト型式 | 最小アイドラー径(mm) |
---|---|
MA3 | 30 |
MA5, AT5 | 40 |
MA8, AT10 | 80 |
T5 | 30 |
T10 | 70 |
MXL | 15 |
XL | 30 |
L | 50 |
H | 90 |