GPS:Geometrical Product Specifications
表面性状の図示記号と構成
基本の図示記号 | ||
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表面性状を指示するための 基本図示記号 |
除去加工をする場合の 図示記号 |
除去加工をしない場合の 図示記号 |
表面性状の図示記号(要求事項を指示する場合) | ||
除去加工の有無を問わない場合 | 除去加工をする場合 | 除去加工をしない場合 |
図面上で外形線によって表された全表面(6面)に適用する表面性状の要求事項の例
参考
図形に外形線によって表された全表面とは、部品の三次元表現で示されている6面である。(正面および背面を除く。)
表面性状の要求事項の指示位置
- a:
- 通過帯域または基準長さ、表面性状パラメータ
- b:
- 複数パラメータが要求されたときの二番目以降
のパラメータ指示 - c:
- 加工方法
- d:
- 筋目とその方向
- e:
- 削り代
参考
原国際規格にはないが、"a"~"e"の位置に指示する事項を記載した。
筋目方向の記号
記号 | 説明図および解釈 | |
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筋目の方向が、記号を指示した図の投影面に平行
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筋目の方向が、記号を指示した図の投影面に直角
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筋目の方向が、記号を指示した図の投影面に斜めで2方向に交差
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筋目の方向が、多方面に交差
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筋目の方向が、記号を指示した面の中心に対しほぼ同心円状
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筋目の方向が、記号を指示した面の中心に対しほぼ放射状
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筋目が、粒子状のくぼみ、無方向または粒子状の突起
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図面およびその他の製品技術文書における指示
要求 事項 |
表面性状の要求事項の向き | 表面を表す外形線上に示した表面性状の要求事項 |
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図示例 | ||
要求 事項 |
引出線の二つの使い方 | サイズ形体の寸法と併記した表面性状の要求事項 |
図示例 | ||
要求 事項 |
円筒形状の寸法補助線に指示した表面性状の 要求事項 |
円筒および角柱の表面の表面性状の要求事項 |
図示例 | ||
要求 事項 |
大部分が同じ表面性状である場合の簡略図示 (何も付けない) |
大部分が同じ表面性状である場合の簡略図示 (一部異なった表面性状を付ける) |
図示例 | ||
要求 事項 |
指示スペースが限られた場合の表面性状の 参照指示 |
表面処理前後の表面性状の要求事項の指示 (表面処理の例) |
図示例 |
加工法を問わない場合の 表面性状 |
除去加工をする場合の 表面性状 |
除去加工をしない場合の 表面性状 |
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簡略図示 |
表面性状の要求事項図示の改訂経過
ISO 1302 の改訂版 | 主な導入項目の例 | |||
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1971(1) 1974(第1版)(1) 1978(第2版)(1) |
1992(第3版) (2) | 2004(第4版) (3) | ||
a) | Raだけ"16%ルール"適用 | |||
b) | Ra以外のパラメータに "16%ルール"適用 |
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c) | (4) | (5) | "最大値ルール"適用 | |
d) | Raに基準長さを付加 | |||
e) | (4) | (4) | 通常帯域の指示 | |
f) | Ra以外のパラメータに 基準長さを付加 |
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g) | RaとRa以外のパラメータを 併記 |
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h) | (4) | (6) | 標準値以外の評価長さを それぞれに含まれる 基準長さの数で指示 |
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i) | (4) | (4) | 下限値の指示 | |
j) | 上限値および下限値の指示 |
注釈
- (1)
- 標準および他の詳細事項なし。特に
-標準評価長さなし。
-標準基準長さなし。
-"16%ルール"および"最大値ルール"なし。 - (2)
- Ra、Ry、Rz(十点平均粗さ)にだけ標準および他の詳細事項を、ISO 4287-1:1984およびISO 4288:1985で規定。ISO 1302:1992ではパラメータ記号の2番目の文字を添字にするという問題があった。この添字は、直立体の小文字であった。表面性状に関する当時の規格は、すべて添字を用いていた。
- (3)
- パラメータ記号RyはRzに変更になり、十点平均粗さRzが規格から削除された。
- (4)
- 規定なし。
- (5)
- ISO 1302:1992 の付属書DのD.3ではRa1.6maxのように誤った解釈がされていた。記号をRamax1.6のようにするISO 4288:1985の記号に従っていないという問題があった。
- (6)
- ISO 4287-1:1984の5.9参照。
16%ルール、最大値ルール(JIS B 0633:2003より引用)
1) 16%ルール
要求値が、パラメータの上限値によって指示されている場合には、一つの評価長さから切り取った全部の基準長さを用いて算出したパラメータ測定値のうち、図面または製品技術情報に指示された要求値を超える数が16%以下であれば、この表面は要求値を満たすものとして受け入れられるものとする。要求値が、パラメータの下限値によって指示されている場合には、一つの評価長さから切り取った全部の基準長さを用いて算出したパラメータ測定値のうち、図面または製品技術情報に指示された要求値より小さくなる数が16%以下であれば、この表面は、要求値を満たすものとして受け入れられるものとする。
パラメータの上限値および下限値を指示するためには、"max"の付かないパラメータ記号を用いなければならない。
2) 最大値ルール
要求値が、パラメータの最大値によって指示されている場合、対象面全域で求めたパラメータ値のうち一つでも図面または製品技術情報に指示された要求値を超えてはならない。
パラメータの最大許容値を指示するためには、パラメータの記号に"max"を付ける(例えば、Rzlmax)。