(6)整流器
整流器は、交流電力を各種の表面処理に適した電圧に下げて直流電力に変換する装置です。従って、トランス(変圧器)、整流体、制御装置などで構成されています。
昔の整流器は、次に示すような構成で、めっきなどの電流調節には、直流電圧を調節することによって行ってきました。
これに対して現在の整流器は、次のようにサイリスターなどの半導体の位相制御によって行われています。
従って、定電流電解や定電圧電解、自動運転などの高度の表面処理が容易に行われるようになりました。しかし、これには落とし穴がありました。
すなわち、整流器の負荷率との関係において、出力の波形や効率、力率が変化するということです。いま定格出力10V×1000Aの整流器を、5V×1000Aで使用したとすると、その整流器の負荷率は(5×1000)/(10×1000)=50%となります。このように負荷率が低下した場合、従来の電圧制御型の整流器では異状なく使用できたのですが、最近の位相制御型の整流器では、次のような問題が生じています。
(1)出力波形に交流分が増加する
つまり交流を整流して得た直流中には、最初からごく僅かな交流分が入っていますが、それが負荷の低下に伴って増加してしまうのです。この交流分を電流計で見ることはできませんが、実際に流れる電流は、電流計が指示する値より小さいということです。従って、理論値通りのめっき厚さを析出させることが困難になります。
(2)整流器の効率・力率が低下する
整流器の負荷率(稼動率)が低下すると、整流器の効率・力率が低下します。このことは同じ直流電力を得るために、効率が低下すると多くの交流電力を必要とするということです。また【図1】【図2】のように力率が低下するということは、同じ直流電力を得るのに無効電力が増加して、高圧受電トランス容量の増大・基本料金の増大をもたらします。