(13)酒精塗料
酒精塗料は、アルコール可溶性樹脂をアルコールに溶かした溶剤揮発乾燥形の塗料です。乾燥が速く、肉もち、光沢がよくて、しかも安価ですから、昔から木工家具などの透明塗装に使われてきました。近年は、天然樹脂塗膜の欠点を補うために多くの合成樹脂が使われています。
(1)セラックニス
セラック虫の幼虫の分泌物である天然産セラックを、アルコールに溶解した樹脂溶液がセラックニスです。普通セラックニスのセラック含有量は20〜30%です。常温乾燥10〜30分で2〜3時間後には、塗膜面の研磨が可能になります。
木材のヤニ止め、ふし止め、木工家具の下塗り、油性塗料の下塗りなどに使用されています。
(2)合成樹脂速乾ニス
セラックニスの欠点を補う目的で、各種の合成樹脂速乾ニスがつくられています。セラックニスの耐熱性と耐水性を改善したものが多く、一例をあげますと、PVB+アルコール可溶性フェノール樹脂を塗膜主要素とするもの、ロジン変性マレイン酸樹脂に少量のニトロセルローズ、可塑剤を添加したものなどがあります。いずれも木工用に用いられます。
(14)水系塗料
有機溶剤の代わりに、水を使用する塗料です。最近有機溶剤による作業環境の悪化や大気汚染防止・省エネルギーなどの観点から水系塗料が開発されてきました。これらは、エマルジョン塗料と水溶性樹脂塗料に大別できます。前者は熱可塑性ポリマーで、常温乾燥用であり、後者は、熱硬化性ポリマーで焼き付け塗料として使用されます。
(1)エマルジョン塗料
市販のエマルジョン塗料(ラテックス塗料)は、ビニル、アクリル、スチレン、ブタジエン、不飽和塩基エステルのようなモノマーを乳化重合したものをビヒクルとした塗料です。特徴としては、[1] 有機溶剤を使用しないから安全衛生上の心配がない。[2] 刷毛さばきがよい。[3] 乾燥が早い。[4] 耐アルカリ性ポリマーを使えばコンクリート、モルタルなどにも塗装できる。[5] 乾燥後の塗膜は耐水洗性になる。などで、建築物の塗装によく使われます。
(2)水溶性樹脂塗料
水溶性樹脂塗料は、合成乾性油系、アルキド系、ポリエステル系、エポキシエステル系、アクリル系などの樹脂が主体で、若干の溶剤を使用し、焼き付け用であります。最も多い需要は電着塗装用で、自動車車体、自動車部品、電気製品など広範囲に使用されています。
浸漬塗り用水溶性樹脂塗料、常温乾燥形水溶性樹脂塗料も使われています。