(7)エポキシ樹脂塗料
エポキシ樹脂には、端末にエポキシ基、分子内にOH基があるので、これに多種多様な変性や橋かけ反応(硬化)を行うことができます。次のような種類があります。
(1)常温乾燥エポキシエステル塗料
エポキシ樹脂を脂肪酸でエステル化したエポキシエステルは、その分子構造が油変性アルキド樹脂に非常によく似ているので塗膜の性質もよく似ています。付着性、耐薬品性が優れています。油性下地塗料、耐薬品性塗料として用いられます。
(2)エポキシエステル焼付け塗料
アミノアルキド樹脂塗料のアルキド樹脂をエポキシエステルで代替した塗料です。焼き付け温度はやや高く130℃以上を必要とします。下地塗料、耐薬品性塗料、金属缶用印刷インキとして使用されます。
(3)高温焼付けエポキシ樹脂塗料
高分子量エポキシ樹脂とフェノール樹脂またはアミノ樹脂の混合物をビヒクルとした塗料です。塗膜の付着性、耐薬品性は非常に良好で、耐薬品性塗料、缶用印刷インキとして使われています。
(4)アミンまたはポリアミド硬化樹脂塗料
有機アミン類、ポリアミンとエポキシ樹脂の重合物などの2液常温硬化エポキシ樹脂塗料で、通常エポキシ樹脂塗料といえば、この種の2液形塗料を指します。室温でも硬化しますが50〜90℃の強制乾燥のほうがよい塗膜が得られます。
(8)アクリル樹脂焼き付け塗料
アクリル樹脂を塗膜主要素とする塗料には、アクリルラッカー(熱可塑性樹脂)、アクリルエマルジョン塗料(熱可塑性)および焼き付け塗料(熱硬化性)がありますが、熱硬化性アクリル樹脂焼き付け塗料が有名であります。
アクリル樹脂焼き付け塗料の性質は、原料モノマー、共反応樹脂の種類と含有量、樹脂の分子量、焼き付け条件などによって決まります。例えば、メタクリル酸メチルやスチレンは塗膜を硬くし、アクリル酸エチルやアクリル酸ブチルは軟らかくします。
アクリル樹脂焼き付け塗料の特徴は、[1] 耐候性がきわめて優秀、光沢・光沢保持性、色および保色性が優秀、[2] 塗膜の諸特性良好、[3] 耐薬品性、耐汚れ性良好、付着性が優れる。[4] アミノアルキド樹脂にくらべて焼き付け温度が高く、150℃以上を必要とします。
用途は、主として金属用トップコートとして広範囲に用いられています。自動車用(とくにメタリック塗装)、家電用、事務用機器、機械類、ガードレール、着色表面処理鋼板などです。