材料の送り線高さは、【図1】に示すように、ボルスタプレート面から材料の移動位置までの高さを言います。「フィードレベル」または「パスライン」と呼ぶこともあります。
材料送り装置を用いて自動加工するプレス金型では、ダイハイトと共に送り線高さもプレス機械にあわせる必要があります。
【図2】はプレス金型の送り線高を示しています。ボルスタプレート上面(金型のダイホルダ下面)から、材料がダイ面からリフトアップされた位置の高さまでの寸法です。
リフトアップは曲げ等の成形加工を含む製品加工では、どうしても発生するものです。製品加工はリフトアップ状態から、ダイ面まで材料を押し下げてから加工します。このとき、リフト量が大きいと、材料の傾きが大きくなり加工ミスにつながります。金型設計をする際には、できるだけリフトアップ量が小さくなるように工夫します。
やむをえずリフト量が大きくなってしまったときには、プレス機械の送り線高さの位置が、リフト量の1/2位の位置になるように設定します。このようにすることで、材料送りの時には材料は少し上に傾くようになります。製品加工の際には、材料は上型によって押し下げられ、上に傾いている材料が、一旦平らになり(プレス機械の送り線高さと同じになったとき)、その状態から下に傾いていき、ダイ面に接します。通常の送り線高さの設定よりも、製品加工時の材料傾きを小さくでき、加工ミスを減少できます。