通常、穴抜き型ではブランクを位置決めして動かないようにして加工します。
この位置決め部品を「ネスト」と呼びます。ネストは「位置決め」「定木」「案内」「ガイド」などの呼び方があります。
【図1】は板を用いたネストです。板ガイドなどと呼ばれることもあります。
(a)は1体式のネストです。通常はこの形が多いと思います。(b)は分割式のネストです。大きな製品のときによく使われます。
ネストは4本以上のねじで止められ、2本のダウエルピン(ノックピン)で位置決めします。 固定方法は分割式のネストでも同様ですが、ネストが小さくなると、ねじとダウエルピンの関係が難しくなることがあります。
このようなときの最低限の取り付け方法は、1本のねじに対して2本のダウエルピンで止め、固定と位置決めをします。
【図2】はピンを用いたネストです。板を用いたときには、ストリッパプレートの逃がしが多くなる欠点があります。
ピンにすることでストリッパの逃がしが軽減できるとともに、金型構造もシンプルにすることができます。
ピンによる位置決めは、点接触となるため板ガイドに比べ、多少位置決め精度は落ちるようです。
【図3】はネストの形状設計についての考え方です。
製品形状に忠実にネストを作るのはよくありません。位置決め精度、プレス作業性もよくありません。
製品形状の要点を押さえ、角や細かな形状部分を逃がしたネストとします。
更に、一定方向にしか入らないように、フールプルーフ(ポカよけ)を施しておきます。
また、ブランクを入れやすくしたり、加工後の製品を取り出しやすくする逃がしをつけることも忘れないようにします。