機械の本質安全化の考えを前号で解説しました。ここでは、プレス装置やかしめ装置などの構造の装置を事例に本質安全化を解説します。
(1)機械の本質安全化とは
機械の本質安全化とは次の3項目を含む対処策です。
1)安全設計が機械設備に内蔵され、または組み込まれている。
2)機械装置の操作や取扱いを誤っても、事故や災害に繋がらないように、フールプルーフ機能を有している。
3)機械設備や部品が破損や故障しても安全側に作動するようフェールセーフ機能を有している。
(2)プレス装置/かしめ装置の場合の本質安全化
・プレス装置やかしめ装置などの場合、事故のほとんどは、1)材料の供給作業、2)材料の位置調整・修正などの作業のために加工点に手を入れたときといえます。
・この様な場合の負傷は、多くの場合が後遺症として残る災害のため本質安全化が必要です。
・本質安全化ができない場合には、次の方策として安全装置の取付けとなります。
・本質安全化の事例
a) プレス金型の安全囲いを設置・・・作業者の手や指が加工点に届かなくなるように金型周辺に囲いを付ける。
b) 構造的に安全型とする・・・上型と下型とのすき間または上型および下型とストリッパーとのすき間を8mm以下の構造にして、指が入らないようにする。
(【図1】参照)
c) 自動プレス化・・・材料の自動供給化、加工品の自動排出化により手を挿入する作業を排除する。
d) 安全プレス化・・・装置に光センサー式安全装置を設置、または、両手操作ボタン化により、安全設計を機械設備に内蔵させる。