ボールベアリング（転がり軸受）と滑り軸受の違い？（選定概要）

本記事では、ベアリングと滑り軸受の違いを解説し、ベアリング2種類の特徴を解説する。

• ベアリングと滑り軸受の違い
• ボールベアリング(玉軸受)の特徴
• ローラベアリング(ころ軸受)の特徴

ベアリングと滑り軸受の違い

ベアリングと滑り軸受には図１に示すような違いがある。

図1．転がり摩擦と滑り摩擦

表1で示す通り ベアリングは、回転軸の回転に合わせて複数個の転動体が回転する。

表1．ベアリングと滑り軸受の違い

	ベアリング	滑り軸受
転動体	玉(球体)、ころ(円柱)	無し
メーカー互換性	有り	無し
許容荷重	大きい	同径のベアリングより大きい
摩擦係数	0.0010～0.0015	0.07～0.15
取付け外径	大きい	同径のベアリングより小さい

転動体には、玉やころを使用している。転動体は点や線で接触するため、面で接触する滑り軸受より摩擦係数が小さい。国際的に製品寸法が規格されているので、メーカー互換性があることが特徴である。ただし転動体の加工精度のばらつきにより、滑り軸受と比較すると滑らかな回転が得られない 。取付け外径が大きいので、取付けスペースに制限があると選定が難しくなる。ベアリングは、転動体の形状で「ボールベアリング(玉軸受)」「ローラベアリング(ころ軸受)」の2種類に分類される。 表1で示す通り 滑り軸受に転動体は無い。 ベアリングが回転軸の動きを転動体で受けるのに対し、滑り軸受は材質の滑りで軸の動きを受ける。ベアリングと比較すると、構造がシンプルなため壊れにくい。滑り軸受に国際規格は無く、メーカーによって径・長さ・厚みが異なる。軸と軸受が面接触するため、摩擦係数が大きい。 また取付け外径が、同径のベアリングより小さいため取付けスペースが小さくて済む。

ボールベアリング(玉軸受)の特徴

ここでは、ボールベアリング(玉軸受)の特徴について解説する。
ボールベアリングのメリットは以下の3点である。

1. ・高速回転に適している
2. ・回転元の負荷が少ない
3. ・ラジアル荷重用は価格が安価

最大のメリットは、高速回転に適していることだ。転動体が球体で、接触面積が少ないことにより高速回転に適している。
接触面積が少ないことで、回転元 への負荷が軽減できる。さらにラジアル荷重用のボールベアリングは、ローラベアリングと比較すると安価である。

逆にデメリットは以下2点である。

1. ・高負荷荷重に適していない
2. ・スラスト荷重用は価格が高価

デメリットは、転動体が玉の頂点で接触しているので高負荷荷重に適していない。また、スラスト荷重用はローラベアリングと比較すると高価である。高負荷荷重で選定する場合は、ローラベアリングを選定する。

ローラベアリング(ころ軸受)の特徴

ここでは、ローラベアリングの特徴について解説する。
ローラベアリングのメリットは以下の2点である。

1. ・高負荷荷重に適している
2. ・スラスト荷重用は価格が安価

最大のメリットは、高負荷荷重に適していることだ。転動体が円柱状のころなので、接触面積が大きい。これにより高負荷荷重に適している。またスラスト荷重用は、ボールベアリングより安価であるのもメリットである。
逆にデメリットは以下の3点である 。

1. ・高速回転に適していない
2. ・ラジアル荷重用は価格が高価
3. ・回転元 への負荷が大きい

最大のデメリットは、転動体の接触面積が大きいため、高速回転に適していないことである。さらに接触面積が大きいことで、回転元にかかる負荷が大きい。また、ラジアル荷重用はボールベアリングより高価である。
高速回転で選定する場合は、ボールベアリングを選定する。

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