薄膜の製造技術は従来のめっき成膜法(湿式プロセス)から真空成膜法(真空蒸着法、スパッタリング法などの乾式プロセス)の採用が多くなっています。薄膜材料の制御性に優れることや多層膜構造に適するなどの理由があります。乾式プロセスの場合、使用する治具材料に軽量化ニーズが出てきます。
(1)薄膜プロセス用治具材料
・薄膜プロセスでは、真空中で高熱処理を行うなどのため使用する治具材料には不純物が極力少ないものが採用されます。また、高熱に耐える耐熱性も必要なことから高純度炭素材料が多用されます。
・また、クリーンルームでの使用が多いため、耐摩耗性や耐食性などの要求もあり高硬度なカーボン材料が適しています。
・搬送ロボットや各種装置のテーブルなどの剛性に治具重量が大きく関係するため、軽いカーボン素材が好ましい。
(2)高純度炭素材料の特徴
次の様な特徴があります。
(1)軽量で高強度。
(2)材料中の不純物が少ない。
(3)高温環境でも熱に強く、熱膨張も少ない。
(4)断熱性が高い。
(5)耐薬品性、耐食性に優れる。
(6)生物親和性がある。
このような金属材料や樹脂材料にはない優れた材料特性を持つため、今後の成長が期待されている環境産業やバイオメディカル産業用途向けの装置用備品材料や主要基幹部品材料に採用されます。
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