コイルスプリング使用上の注意
①スプリングガイドなしでの使用
スプリングガイドなしで使用した場合、スプリングに座屈、胴曲がり等が発生し、曲がりの内側が局部的に高応力となり早期折損に至ります。必ずシャフト、外径ガイド等のスプリングガイドを使用してください。
※スプリングガイドは上面から下面に貫通して使用していただくのが理想的です。
②スプリングの内径とスプリングガイド外径について
スプリングガイド外径はスプリング内径より-1.0mm程度に設定してください。スプリングガイドとのクリアランスが小さいと、スプリングガイドによりスプリングの内径が摩耗し、摩耗部を起点とし折損に至ります。また、スプリングガイドとのクリアランスが大きいと座屈等の原因となります。
自由長の長いスプリング(自由長/外径=4以上のスプリング)は(図-1)左のようにスプリングガイドに段差をつけ、胴曲がり時の内径接触を避けてください。
③スプリングの外径とざぐり穴について
ざぐり穴径は外径より+1.5mm程度に設定してください。ざぐり穴とのクリアランスが小さいと、スプリングがたわむと外径側に膨らむため外径が拘束され、応力集中により折損に至ります。自由長の長いスプリングは(図-1)右のようなざぐり穴が理想的です。
④ガイド長さ・ざぐり穴深さが短い場合
ガイド長さが短いと、スプリングが座屈したときにガイド先端部が接触し、摩擦により折損に至ります。ガイド長さを初期設定高さx1/2以上にされることをお奨めします。またC3程度の面取りを施してください。
⑤最大タワミを超えての使用(密着長付近での使用)
最大タワミを超えて使用した場合、断面に計算以上の高応力が発生して折損に至ります。また、密着長付近では、有効巻部が徐々に密着していき、ばね定数が高くなるため(図-2)のように荷重線図が立ち上がるので、高応力が発生して折損にいたります。さらにヒズミの原因ともなります。最大タワミを超えての使用は避けてください。
⑥初期タワミなしでの使用
隙間があるとスプリングが上下に動き衝撃力が加わり、胴曲がりや座屈が発生します。初期タワミをとるとスプリングの上下面が安定します。
⑦スクラップ、異物を挟んだ状態での使用
異物が挟まるとその部分は有効巻として作用しなくなり、(図-3)のようにそれ以外の部分がたわみます。そのため実質的に有効巻が減少したのと同じようになり高応力が発生して折損に至ります。スクラップ、異物が入り込まないようご注意ください。
⑧取付面の平行度が悪い場所での使用
取付面の平行度が悪いと、スプリングに胴曲がりが発生し、曲がりの内側が局部的に高応力となり折損に至ります。また、(図-4)のように最大タワミ時の平行度が悪い場合も、スプリングの曲がりにより折損に至ります。
⑨スプリングを直列にしての使用
直列で使用した場合、(図-5)のようにスプリングが曲がり、場合によってはスプリングガイド・ざぐり穴に乗り上げてしまい、①と同じ理由で折損に至ります。また、スプリングの荷重のバラツキにより、荷重の弱いスプリングが強いスプリングに負けてしまい(図-6)、弱いスプリングのタワミが増え耐久性の差や折損の原因となります。尚、二本を直列で使用する場合それぞれのスプリングのばね定数は1/2になります。
⑩スプリングをダブルにしての使用
(図-7)のようにダブルで使用した場合、スプリングが座屈したとき、インナーがアウターの線間に入り込み(またはその逆)④と同じ理由で折損に至ります。
⑪スプリングを横にしての使用
スプリングを横に使用した場合、スプリングガイドによりスプリングの内径が摩耗し、摩耗部を起点とし折損に至ります。