●荷重計算
リニアシステムは、物体の重量を支えながら直線往復運動を行なうため、物体の重心位置、推力作用位置、また起動停止や加速、減速の速度変化などでリニアシステムにかかる荷重が変化します。リニアシステム選定の時にはこれらの条件を十分に考慮する必要があります。
表-5 使用条件と荷重計算式
分類 | 使用条件と荷重 | 分類 | 使用条件と荷重 |
---|---|---|---|
1 | 3 | ||
4 | |||
2 |
- W : 作用荷重(N)
- X、Y: リニアシステムのスパン(mm)
- t1: 加速時間(sec)
- V: 移動速度(mm/sec)
- P1、P2、P3、P4: リニアシステムにかかる荷重(N)
- t3: 減速時間(sec)
●変動する荷重の平均荷重
リニアシステムに作用する荷重は、その使い方によっていろいろ変化していく場合が一般的です。例えば、往復運動の起動・停止と定速運動の場合、また、ワークの搬送におけるワークの有無等が考えられます。このように、変動する荷重については、その条件における寿命と等しい寿命になるような平均荷重を求めて寿命計算をすることが必要です。
①距離によって荷重が段階的に変化する場合(図-3)
荷重P1を受けて走行距離ℓ1
荷重P2を受けて走行距離ℓ2
⋮⋮
荷重Pnを受けて走行距離ℓnの場合
平均荷重Pmは次式によって求めます。
- Pm: 変動する荷重の平均荷重(N)
- ℓ : 全走行距離(m)
②荷重がほぼ直線的に変化する場合(図-4)
平均荷重Pmは近似的に、次式で求めます。
- Pmin: 変動荷重の最小値(N)
- Pmax: 変動荷重の最大値(N)
③荷重が図-5(a)・(b)のように正弦曲線的に変化する場合
平均荷重Pmは近似的に次式により求めます。
リニアガイド
定格寿命は、一群の同じリニアガイドを、同じ条件で個々に走行させたとき、そのうち90%がフレーキングをおこすことなく到達できる総走行距離をいいます。
定格寿命は基本動定格荷重とリニアガイドに加わる荷重から次のように求めることができます。
寿命時間は、単位あたりの走行距離を求めることにより算出することができます。ストローク長さと、ストローク回数が一定の場合は、次式により求められます。
- Lh: 寿命時間(hr)
- L : 定格寿命(km)
- ℓs: ストローク長さ(m)
- n1: 毎分往復回数(cpm)
スライドウェイ
スライドウェイの定格荷重は、転動体(コロ数)で決まり、下表により算出します。
1軸使用
1軸縦使用
2軸並列使用
- C1 : ローラ1ヶあたりの基本動定格荷重(N)
- Co1 : ローラ1ヶあたりの基本静定格荷重(N)
- Z : 転動体数