自動機部品の場合、量産部品と特注の加工部品では部品の加工方法が異なってきます。この場合、量産部品は量産用加工技術に適した形状で量産されます。一方、機械加工は1個づつまたは複数個を加工装置のテーブル上に固定し、NCプログラムで自動加工するかマニュアル作業で加工します。この様に、量産部品と特注部品では全く異なる加工法が採用されるため、特注部品設計の場合には、設計者は安易に量産部品の形状を真似て設計する失敗を犯さないことが重要です。
事例:フランジ部品の場合
a)量産部品の場合・・・【図1】
- 鋳型を作り鋳造品で粗形状品を生産し、その後に精度を要する部分の追加加工を行う。
- この場合、外形形状は鋳造流れを均一にさせるため対称形状に設計するのが好ましい。
- したがって、機械加工時に必要な固定基準面などは持たない形状で部品設計されている。
b)特注の加工部品の場合・・・【図2】
- 生産数量が少ない場合は機械加工で製作するが、この場合、上の量産部品と同じ形状では機械加工が難しい、または、段取りロスが多い場合などが多くある。
- したがって、機械加工に適した部品形状に設計変更することが好ましい。【図2】の場合は、機械加工の固定基準面を持つ形状に変更している。
- 量産部品と同じ形状に加工する場合、次のような問題が生じる可能性がある。
(1) 固定面の高さが異なるため、適切な板厚の基準スペーサを準備する必要がある。 (2) 上記の(1)を工夫しても、中間の薄板部は支えがない状態での加工となるため、加工時にビビリ振動が生じる恐れがある。