量産ラインの中での加圧加熱工程では、前後の工程との同じ生産タクトを実現させ貯蔵バッファを持つことなく生産する工法が求められる。ここでは、多層加圧加熱処理技術を解説する。
(1)多層加圧処理技術
1)剛体の多層空気圧加圧法
・2枚のガラス接着物を1個の製品の事例の場合、複数個のガラス接着物を積層させて加圧処理することで、前後の生産タクトと同じタクトを実現することができる。
・この積層状態での一括加圧処理では、ガラス接着物の板厚バラツキの影響で積層された個々のガラス接着体には均一な接触応力はかからない(図1)。
・ガラス接着体の板厚バラツキを吸収し均一加圧を得るために、D549で解説した圧力緩衝材と同じ作用を持つスペーサ(圧力緩衝シート)を各ガラス接着体の間に入れることで解決できる(図2)。
・スペーサに求められる材質は、(1)板厚が薄く均一、(2)局所的な硬さバラツキがないこと、(3)耐久性(何回も利用できる)、(4)ゴミなどを出さない、(5)帯電しない、(6)安価などが挙げられる。
・試作程度ではスペーサとして「紙」も使用できるが上記の(3)、(4)の点で量産には不適切。
・積層加圧に使用する圧力緩衝シートの品質が不適切で、局所的に硬い部分があったり、帯電して異物が付着したシートを使用すると、その部分に局所的に大きな接着応力が働き不良品となる。
2)剛体の多層加圧加熱法
・図2の状態で加熱処理を要する場合は、圧力緩衝シートの材質特徴に伝熱特性の検討が加味される。