ゴム膨張体を用いた加圧法は加圧均一性の点で優れるが機構設計上で膨張体の固定法などノウハウ的設計技術が必要となる。ここでは空気圧加圧法の機構設計の留意点を解説する。
(1)ゴム膨張体を用いた空気圧加圧法の機構設計の留意点
1)加熱による空気圧変動対策
・ゴム膨張体の様な空気圧加圧法と加熱処理を併用する場合、加熱温度で空気圧が高くなるため加熱炉内部では室温状態の空気圧よりも大きな力が作用する。したがって、この影響を考慮して圧力条件を選定する必要がある。
・圧力条件のみの変更で加熱による圧力上昇の対策が難しい場合は、加熱プロセス中に空気圧を減圧させる圧力スイッチ(機械式または電気式)を採用するなどの対策がある。
・加熱炉を使用する場合には、機械式の圧力開放ハンドル(ボールバルブ:ミスミBRKTなど)を採用し、空気圧シリンダ等で機構的に開放弁を開けて減圧させる方法がシンプルである(図1、2)。
2)バルーン式ゴム膨張体の固定
・図1の様なゴム膨張体は加圧プレートに板状の金属枠で固定するが、ゴム膨張体の表面にシワを発生させずに滑らかな曲面で膨らむ様にゴム膨張体を固定しなければ成らない。
・このため、ゴム膨張体の固定用金属枠の形状が重要となる。
・図3-aは一般的な角型固定枠、図3-bは内側コーナー部に大きなアール形状を持たせた固定枠である。
・それぞれの固定枠でゴム膨張体を固定し、膨張させたゴム膨張体の図3丸部の状態を図4に示した。
・図4-aはゴム膨張体のコーナー部が複雑に変形する。図4-bは膨張部表面が滑らかな曲面で膨らんでいる。
・図4-bの固定枠形状とゴム膨張体の膨張量を適切に選択し、更に、長期間の使用で膨張時に空気が漏れない固定法の採用が必要となる。