卵の形状は、未来の自動車の形状コンセプトとして何度か利用されています。エスティマ(トヨタ)の初代スタイルは、「天才タマゴ」と呼んだ卵型の丸みを帯びたボディー形状でした。この卵の形状とその構造について解説します。(参考文献:尾田十八著:形と強さのひみつ、オーム社)
(1)卵の形状/構造/特徴とその仕組み
1)卵の形状/構造
・ニワトリの卵の形状は、長径=58~62mm、短径=45~47mmの楕円体です(【図1】参照)。
・殻の厚さは、0.36mm程度の卵殻と0.08mm程度の卵殻膜の合計厚さ=0.44mm程度で、短径の約1/100の厚さしかありません(【図1】参照)。
2)卵の強度の特徴
・卵は外敵から保護するために強い強度を持たせています。反対に、卵の中にいる雛(ひな)には、弱い力で殻が割れるような特徴を持たせています。
3)卵の強度の特徴の仕組み
・卵の楕円体の破壊強度は、外圧で35気圧が必要との実験結果があります。
・卵の殻は【図1】のように3層構造となっています。外の層はクチクラと呼ばれる硬くてもろい縦長の構造物の集合体で、これを2枚の薄い膜で内側から覆い多層構造化しています。
・この卵の多層構造体は、自動車のフロントガラスと同じ多層構造体であり、接着層を挟ませることで割れにくくしています。
・更に、クチクラ単体の形状に特徴があり、クチクラの外側は滑らかなため外側の集合体も滑らかで欠陥の無い強い外壁となるが、内側はデコボコの内壁面となるため雛の口ばしでつついて割れる弱い特徴を生み出しています。
(2)卵の形状特徴のまとめ
前回の最適な形状設計の検討問題のまとめを参考に、卵の事例を整理すると下記となります。