電気めっき
- 工業用クロムめっきは、古くから硬質クロムなどともいわれて、クロムめっき皮膜のもつ硬さ、潤滑油保持、耐磨耗性などの機能を活かして、厚さ10〜100umのめっきが多方面に用いられてきました。 工業用クロムめっきの皮膜の特性は、次のようなものです。 (1)高硬度 通常の電気めっきの中では、最も高硬度で(マクロビッカース硬度約1000)、熱処理鋼・窒化鋼などより、はるかに高硬度である。 (2)耐磨耗性 クロムめっきに期待される最も重要な性質で、十分に満足している。 (3)耐食性 塩化物以外の化学薬品に対する耐食性は優秀で、大気中でも安定している。 (4)耐熱性 加熱すると、皮膜に吸蔵されている水素の放出が起こり、硬度は低下する。300℃以上になると急激に低下する。したがって耐磨耗性も低下する。タグ:
- (1)錫-亜鉛合金めっき 塩水と湿潤雰囲気に優れた耐食性があるといい、とくに錫70%付近で最高の耐食性を示すといわれている。有色クロメート処理を施したものは、膜厚5μmで、塩水噴霧試験1800時間をクリアする。はんだ付け性に優れ、アルミニウムにも直接めっきができる。 亜鉛に比べて錫は高価であるので、必然的にコスト高になる。これを克服する方法として、錫-亜鉛合金めっきを数μm施した後、通常の亜鉛めっき・クロメート処理の多層めっき法が採用されている。タグ:
- 実用化されている亜鉛合金めっきには、次の2つがあります。 (1)亜鉛-ニッケル合金めっき 苛酷な腐食環境で使用される製品や部品に適用されるめっきで、亜鉛めっきでは相当な厚膜にしないと対応できない重負荷対応の防食めっきである。薄くて高耐食性のめっきとして、その地位を確立している。 通常ニッケル5〜10%を含有し、有色クロメート処理したものは、塩水噴霧試験で2000時間以上も赤錆の発生をみない高耐食性である。また、耐熱性に優れ、加熱処理後の耐食性と二次加工性にすぐれている。 また、めっきによって、水素脆性を起さないので、炭素鋼や合金鋼に高耐食性のめっきが可能であることから、自動車の機能部品など重要な地位を占める場所に使われている。このめっきには、有色クロメートとブラウンクロメート処理が実用化されている。タグ:
- 亜鉛めっきは、古くから鉄の防食めっきとして広い分野に用いられてきました。とくに近年、めっき浴やクロメート処理法の進歩によって、耐食性ばかりでなく外観的性能も著しく向上し、装飾的にも用いられるようになりました。 また、亜鉛めっきは安価なことで知られていますが、それは亜鉛めっきに回転めっきが容易に導入できることによるものです。 通常のめっきは、「静止めっき」といって、ラック(冶具)に製品を固定してめっき浴中に入れ、ラックを通じて直流を通電しますが、回転めっき(バレルめっき)は、縦または横型のバレル(樽)の中に製品を入れ、めっき浴中で回転しながら通電されます。製品は樽の中を移動しながら製品同士が通電し合います。従って、回転めっきはラックが不要、脱着不要で大きな省力化・省人化が可能です。 まず、亜鉛めっきの種類からみてみましょう。タグ:
- 各種の製品・部品は殆どが大気中で使用されます。そこには湿気、酸化雰囲気、硫化雰囲気、塩分などがあり、程度の差はありますが、これらの腐食環境の晒されることになります。これらから製品や部品を守るために施されるめっきを「防食めっき(防錆めっきともいう)」といっています。 工業材料として、最も多く用いられるのが鉄鋼であるので、これに最も適した防食めっきとして、亜鉛めっきが用いられていることはよく知られています。装飾品として用いられ、装飾めっきが施されるものについても耐食性を求められますが、さらに重度の腐食環境においても耐えられるように施される防食処理のうち、主なる防食めっきについて概要をのべると、次のようになります。タグ:
- 鉄鋼素地上への装飾めっきの代表として歴史のあるのが、クロムめっきといわれている銅・ニッケル・クロムめっきです。近年はより耐食性と美観に優れたニッケル(半光沢めっき+光沢めっき)・クロムも用いられています。これらは、金属素材ばかりでなくプラスチック素材にも施され、装飾めっきの主流をなしています。 外観は、鏡面光沢はかりでなく、梨地、ヘアライン、スピン、ダイヤカット、半光沢梨地、ベロア、パール調などの多彩な外観が得られるので、それぞれの目的に応じて採用されます。 近年はより高い耐食性が求められる自動車関連では、電気化学的に性質の異なるニッケルを二重にめっきしたり、トリニッケルを中間めっきとした三重ニッケルめっきしたり、上層めっきをマイクロクラッククロムめっきをして耐食性を高めています。 また、上層めっきをクロムめっきとせず、ニッケルめっきとしてニッケルの赤みがかった光沢と色調としたり、上層めっきを光沢銅めっきとして赤銅色を活かしたものもあります。タグ:
- 商品価値を高めるための装飾めっきは、素地に機械的表面調整を施した後、下地めっきといわれる下層めっきと、その上の中間めっきでしっかりと耐食性を確保したのち、その最上層に美観・商品価値を高めるためのめっきを施します。用途別には概略次のような組み合わせをしています。タグ:
- 電気めっきに限りませんが、表面処理の前作業としての、素地の表面調整は非常に大切です。要求される表面模様としては、めっき前の素地上に行なう重度のものと、めっき皮膜の膜厚内で対応できる軽度の模様付けがあります。タグ:
- 電気めっきの作業工程は、概略、前作業→前処理→めっき→後処理→後作業の順に行なわれます。 ※ 注)めっき方法 ワークの保持や通電の方法は、ワークの大きさや形状によって、次のようなめっき方法が採用されます。 (1)引っ掛けめっき ワーク1個に対して数箇所の電気的接点を確保して、液中に吊るしてめっきします。 (2)バレルめっき 引っ掛けめっきできないような(或いは不経済な)小さなワークは、大量にバレル(樽)めっき装置に入れて、回転しながら通電してめっきしますので、非常に省力的です。しかし、この方法はすべてのめっきに適用できる訳ではありません。
- (1)単層めっき 防食めっきは、その殆どが単層めっきです。亜鉛めっきや亜鉛合金めっきが広く使われていますが、その理由は犠牲防食の原理から当然のことで、亜鉛などイオン化傾向の大きな金属がイオン化傾向の小さい鉄鋼と直接電気的に接続される必要があるためです。 近年は、防食めっき皮膜の耐食性を更に高めるために、めっき後の後処理としてクロメート処理が行なわれ、例えば亜鉛めっきにおいては亜鉛の白錆び発生を防いでいます。 また、機能めっきでも、硬質(工業用)クロムめっきや印刷ロール用銅めっきなども単層めっきです。これらは要求特性をもつめっき皮膜だけが必要であるからです。タグ: