表面処理関係で、鉛に関係するものは、鉛めっき、錫-鉛はんだ、錫-鉛はんだめっきなどです。このうち鉛めっきは蓄電池や化学機械など、一般消費者の手の届かないところで使用されています。問題となるのは、プリント基板などの回路に使われている「はんだめっき」であります。
はんだ付け(ソルダリング)は、プリント配線回路と電子部品など、固体金属と固体金属の間に、そのいずれの金属よりも融点の低いはんだを溶かし、毛細管現象により吸い込ませて接合し、一体化することで、良好なはんだ付けは、固体金属とはんだとの間には、拡散または金属間化合物を生成させることが必要です。
はんだ付け金属面に施した各種表面処理と、はんだ付け性などの特性を、【表1】に示します。表によると、接合面をはんだめっきすることにより、良好なはんだ接合が可能であることが分かります。(はんだめっきは、70℃以下で可能)
【表1】表面処理とはんだ付け特性
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※ | ◎良好、○やや良、△普通、×不良、Sn-Pbはんだ |
従来から電子部品の接合には、「錫-鉛はんだ」が使用されてきました。【表2】に、錫と鉛の配合比率による物理特性の相違を示しました。
【表2】錫-鉛系はんだの物理特性
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表で分かるように、最も融点が低いのは錫60%鉛40%の共晶はんだと呼ばれるもので、これが多用されてきました。プリント基板上に搭載する電子部品は、コストの関係もあり、なるべく低温で溶融するはんだ付けを要求するからです。
以上は、はんだ接合に使用する「はんだ」に関するものでありますが、プリント基板上の回路のはんだ付け性を向上させるために施す表面処理としての「はんだめっき」の組成は少し違います。通常、錫90%鉛10%の錫リッチのはんだめっき皮膜が用いられてきました。