ゴム弾性体のような加圧緩衝材を用いた加圧法は、加圧緩衝材の変形特性や経時変化による弾性特性の劣化の影響が避けられない。ここでは、空気圧を用いた加圧法を解説する。
(1)空気圧加工法と圧力プロファイル
1)圧力緩衝材を用いた加圧法の場合
・圧力緩衝材を用いた加圧法の場合、被加工物の外周エッジ部で赤矢印方向に集中的な接触応力が作用するため、この反動としてエッジ部の内側部で加圧緩衝材が局所的に変形し、その結果として外周の隣接内側で接触応力が急激に減少する問題がある(図1)。
2)空気圧加圧法の場合
・圧力緩衝材の部分を空気圧で加圧するバルーンの様なゴム膨張体とすることで、“パスカルの原理”に基づき被加工物に対して、より好ましく均一加圧を作用させることができる(図2)。
・“パスカルの原理”とは、流体のはいった容器の一点に力を及ぼすと容器表面の垂直方向に同じ大きさの接触応力が作用すること(図3)。
・ゴム膨張体の耐久性を考えると、ゴム膨張体の厚さは2~3mm程度は必要となる。この膨張体を加圧プレートに空気漏れを生じさせずに固定させる。
・図2の場合も、厳密には被加工物の外周エッジ部での集中的な接触応力は避けられないため、エッジ部の内側部での接触応力の低下は完全には無くならないが、ゴム膨張体の使用材と条件の最適選定等で大幅に改良が可能となる。