乾式表面処理
- ドライプロセスを実施するには、真空系をつくる必要があります。真空系は、真空容器、真空ポンプ、真空計などで構成されます。 真空容器は、表面処理するワークの大きさや処理量、成膜する元素・化合物の供給源、電極など、容器内に設置しなければならない装置の占める容積から決められますが、材質は真空漏れのない緻密な構造で、表面にガスなどを吸着しないような鏡面状平滑面が求められます。 真空ポンプは、「特定の空間(真空容器)から気体を排除する装置」と定義されていますが、その動作原理から、いろいろな種類のものがあります。【表1】に、主な真空ポンプの作動範囲を示しました。 【表1】主な真空ポンプの作動範囲
- 人類ではじめて真空を作ったのは、イタリア人のトリチェリ(Trricelli:1643)であるといわれています。彼は、水銀で満たされた試験管状のガラス管を、水銀で満たされた皿にさかさまに立てることによって生じるガラス管中の水銀柱の上にできた空白を、これが真空であるとしました。 当時これは非常に説得力のある実験でありましたが、管の中が、真に空っぽで何もないかというと、実はそうではなく、水銀の蒸気や水蒸気などのほか多くのガスが含有されていることが、今日では分かっています。技術の発達した今日でも、全く何もない真の真空をつくることは至難の技です。