GPS:Geometrical Product Specifications
解説
表面性状
加工品表面の粗さやうねり、傷などの表面の形状的な特徴を総称して、「表面性状」と呼びます。
JISでは従来の「面の肌の図示方法」が大きく改正され、「表面性状の図示方法」(JIS B 0031:2003)として規定されました。
表面性状パラメータとは、輪郭曲線パラメータ、モチーフパラメータ、負荷曲線に関するパラメータの総称です。
輪郭曲線方式
触針式表面粗さ測定機によって加工表面の凹凸を触針によってなぞり、得られた輪郭曲線をもとにして求めたパラメータによって表示する測定方法を輪郭曲線方式といいます。
表面性状パラメータのうち、輪郭曲線パラメータには、粗さパラメータ、うねりパラメータ、断面曲線パラメータがあり、これらのパラメータのデータ処理により表面性状を表現します。
輪郭曲線パラメータ
輪郭曲線の最大高さ(Rz)
基準長さにおける輪郭曲線の山高さZpの最大値と谷深さZvの最大値の和
注釈
※ 輪郭曲線の最大高さ(粗さ曲線の例):JISを参考に作図
輪郭曲線要素の算術平均高さ(Ra)
基準長さにおける絶対値の平均値
注釈
※ 輪郭曲線の算術平均高さ(粗さ曲線の例):JISを参考に作図
パラメータ記号の相違(JIS B 0601:2013 より抜粋)
表面性状パラメータ(粗さパラメータの例)
JIS B 0601:2013の箇条 (詳細はJIS本文を参照ください) |
JIS B 0601:2013 のパラメータ |
JIS B 0601:1994および JIS B 0660:1998の記号 |
JIS B 0601:2013 の記号 |
輪郭曲線の長さ | |
---|---|---|---|---|---|
評価長さ ln |
基準長さ a) | ||||
4.1.1 輪郭曲線の最大山高さ | 粗さ曲線の最大山高さ | Rp | Rp b) | ー | ○ |
4.1.2 輪郭曲線の最大谷深さ | 粗さ曲線の最大谷深さ | Rm | Rv b) | ー | ○ |
4.1.3 輪郭曲線の最大高さ | 最大高さ粗さ | Ry | Rz b) | ー | ○ |
4.1.4 輪郭曲線要素の平均高さ | 粗さ曲線要素の平均高さ | Rc | Rc b) | ー | ○ |
4.1.5 輪郭曲線の最大断面高さ | 粗さ曲線の最大断面高さ | ー | Rt b) | ○ | ー |
4.2.1 輪郭曲線の算術平均高さ | 算術平均粗さ | Ra | Ra b) | ー | ○ |
4.2.2 輪郭曲線の二乗平均平方根高さ | 二乗平均平方根粗さ | Rq | Rq b) | ー | ○ |
4.2.3 輪郭曲線のスキューネス | 粗さ曲線のスキューネス | Sk | Rsk b) | ー | ○ |
4.2.4 輪郭曲線のクルトシス | 粗さ曲線のクルトシス | ー | Rku b) | ー | ○ |
4.3.1 輪郭曲線要素の平均長さ | 粗さ曲線要素の平均長さ | Sm | RSm b) | ー | ○ |
4.3.2 輪郭曲線要素に基づくピークカウント数 | 粗さ曲線要素に基づく ピークカウント数 |
ー | RPc b) | ー d) | ー d) |
4.4.1 輪郭曲線の二乗平均平方根傾斜 | 粗さ曲線の二乗平均 平方根傾斜 |
△q | R△q b) | ー | ○ |
4.5.1 輪郭曲線の負荷長さ率 | 粗さ曲線の負荷長さ率 | tp | Rmr(c) b) | ○ | ー |
4.5.3 輪郭曲線の切断レベル差 | 粗さ曲線の切断レベル差 | ー | Rδc b) | ○ | ー |
4.5.4 相対負荷長さ率 | 粗さ曲線の相対負荷長さ率 | ー | Rmr b) | ○ | ー |
付属書JA | 十点平均粗さ (ISO 4287:1997から削除) |
Rz | Rzjis c) | ー | ○ |
注釈
- ※
- 対応する国際規格では、1984年版の相対負荷長さをtpとしているが、tpは負荷長さ率である。ここでは、誤りを訂正した。