(4)電解研削の電解液
電解研削用電解液は、主として無機酸を含む導電性の水溶液でありますが、電解加工のように加工物の表面に不動態皮膜の生成を防止する必要がありませんので、次の2つに重点がおかれます。
(1)腐食を防止する特性があること
(2)高い電導度をもっていること
腐食防止剤としては、NaNO2、NaNO3、KNO2、NaCO3、Na3PO4、硼砂(Na2B4O7)などのような高いpH値を与える塩類が使用されます。
また、高い電導度はKNO3、NaNO3、KNO2、NaNO2などを適当に混合することによって得られます。アミン類または有機防食剤が腐食防止剤として加えられる場合もあります。
超合金の電解研削においては、WC及びTiCは、電解によってまずWO3およびTiO2を生成しますので、これらの生成物をよく溶解する化学薬品を加えなければよく加工することはできません。
これらの薬品としては、ロッシェル塩、燐酸塩、炭酸塩などが用いられます。数種の難削材に対して、比較的よく用いられる電解液の例を【表1】に示しました。
【表1】各種金属材料に用いられる電解液
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化学的侵食に対して強い抵抗性をもつ金属に対しては、塩化物を含む電解液を用いる必要があります。このような電解液は、装置に対して腐食が強いのもかかわらず大きな除去速度が要求される場合には、粗加工用としてしばしば用いられます。このような目的に対してNaClと硼酸の混合液が用いられています。
超硬合金用に用いられる電解液は、しばしばそのまま工具鋼にも用いられます。それは、加工材料が変わるたびに、電解液を変えるのが面倒な場合などに適用されます。また、この両者をしばしば電解研削するような場合には、両者の電解液を混合して使用する場合もあります。