人体の治療や手術には、金属やプラスチックなどの生体材料用素材が使用されています。これらの素材は、人体に無害、無毒であって、なおかつ長期間の信頼性の高い素材であることが必須です。また、素材から時間とともに溶出してくる物質によるアレルギー反応や素材に付着している微生物による細菌増殖の防止など、医学的な安全性の確保にも対応できることが必要です。このような安全性や信頼性は、長期間の臨床試験データによって証明されている必要があります。
現在、生体材料用素材としては、(1)金属(2)セラミック(3)高分子の3つの素材系が主として使用されています。以下に代表的な素材例を列挙します。
(1)金属
- ステンレス鋼
- コバルト-クロム合金
- チタン
- 金
(2)セラミック
- アルミナ
- ガラス
- 水酸化アパタイト
- ジルコニア
(3)高分子
- メタクリル酸メチルエステル
- シリコーン
- 液状シリコーン(LSR)
- ポリウレタン
- フッ素樹脂
- ポリグリコール酸(PGA)
- ポリ乳酸(PLA)
- コラーゲン
- フィブリン
- キチン
- セルロース
- ポリエチレンテレフタレート(PET)
- 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコン(MPC)
- ポリアクリロニトリル(PAN)
- ヘパリンナトリウム