プラスチック成形金型の素材としては直接関係が薄いですが、関連素材として使用される木材と皮革について説明します。
金型の保温材料や、金型移動の際にパレットとして木材が使用されています。また、金型を固定する際の吊り皮として皮革が使用される場合もあります。
【木材】
木材には、広葉樹と針葉樹の2系統があります。
広葉樹は、細胞が大きく柔らかいため軟木と呼ばれます。一方、針葉樹は、細胞が細かく硬いため硬木と呼ばれています。
木材は、季節の気温変化による成長の差によって年輪が形成されています。したがって、素材には方向性があり、切断方向によって強度や変形に差が生じます。均質な素材である金属とは大きな違いがここにあります。
切断方向で、まさ目と板目に分けられます。
また、樹木の表皮近傍の素材と、中心部の素材でも性質がことなります。一般に中心近傍の素材は、心材と呼ばれ、細胞内に樹液をほとんどふくまないために、寸法の経時変化が少ない特長があります。一方、外周の素材は辺材とよばれ、寸法の狂いが大きく、また腐食が進みやすいという短所があります。
木材は、水分を吸収したり、乾燥したりする性質があり、水分の影響で変形や割れ、寸法狂いが生じます。
木材は、複数の素材を貼り合わせて合成板とする場合があります。また、板片を貼り合わせた集成材も開発されています。さらに、木粉を接着剤で固めたパーティクルボードもあり、これは素材の方向性がないので寸法変化が生じにくい特長があります。
木材は、一般に金属素材よりははるかに硬度が低いので、金型部品を搬送したり保護するためには有用です。しかし、水分を含んでいますから錆びを招くことになりますので、適切な防錆対策をしなければなりません。
【皮革】
皮革は、衣類や装飾品に多用されていますが、一部は工業用にも利用されています。皮の種類は、牛皮、水牛皮、豚皮、馬皮などが使用されます。これらの動物皮をなめして使用します。
クロムなめしは、クロムミョウバン液に皮を浸し、柔らかな皮を作る方法です。
タンニンなめしは、タンニン溶液に乾燥させた皮を浸し、硬く、強い皮革を作る方法です。
皮革は、ニトロセルロースで接着します。牛皮では30~40Mpaの引張強さが得られます。しかし、耐熱性が十分ではないので高温状態での使用には向いていません。
パッキン類やベルトとして工業用に使用されています。
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- 参考文献:門間改三,大学基礎機械材料,実教出版(株)