ここでは、下記の特徴を持つリニアガイド(循環ボールタイプ)の基本構造を解説します。
- 高剛性
- 長寿命で高精度
- 静かで滑らかな作動
- 優れた振動特性
(1)基本構造と性能
基本構造は、1. 直線案内レール、2. ブロック、3. 転がり軸受用ボールで構成されています。この構造に、防塵性やクリーンルーム対応のためのシール用プレート類や滑動性能向上のためのボールリテーナなど、仕様に応じた各種製品が選択できます(【図1】参照)。さらに、直線しゅう動条件や荷重に対し案内精度を得るために、必要に応じて2本レール構造や複数個のブロックを採用します。
(2)転がり軸受部の構造と働き
(a)転がり軸受部の構造
リニアガイドの性能は転がり軸受部の構造でほぼ決まるといえます。レール上のボール用ガイド溝の本数を「条列」、条列内でのボールの接触点数を「点接触数」として転がり軸受部の構造を表現します。この複数の条列でボールを受ける構造が、急加減速時のモーメント荷重や長時間連続運転などの厳しい可動条件でも精度が維持できる理由です。【図2】は転がり軸受部の構造例です。
さらに予圧状態で軸受部の接触状態が変化し、高剛性・高精度を維持させる製品構造もあります(【図3】)。
(b)静かで滑らかな作動について
リニアガイドは循環ボールタイプ(【図4】)であるため、摩擦力が小さく滑らかに作動できます。また循環ボール同士の接触による摩擦音を無くし、静かで長持ちさせるボールリテーナを内蔵したブロックもあります。
(3)その他のリニアモーションガイド
高剛性を必要としない場合は、ステンレス鋼鋼板をU字形に精密成形し、軌道部分と取付面を一体にした小型・軽量・低価格の精密ボールスライドがあります。