計測機器であるねじゲージは定期的な校正が必要だ。しかし、実は定期的なゲージ校正だけではゲージの摩耗に気づかず不適合品流出のリスクが発生してしまう。解決策はゲージの日常点検を行い、摩耗状況を誰でも簡単に管理する仕組みを作ることだ。ここでは簡単で安心できるねじゲージの管理方法を紹介する。
計測機器の校正と日常点検
校正と日常点検の違い
校正とは、ねじゲージを使用すると摩耗するため、摩耗により規格から外れていないかどうかをチェックすることである。一方、日常点検とは使用前(始業時など)に摩耗状況を確認することである。
ねじゲージは計測機器のため、定期的な校正が必要である。校正をすることでねじゲージが規格を満たすことが保証され、校正されたねじゲージでねじを測定することでねじの品質が保証される。校正は、規格で定められた方法により高い熟練度が必要な三針測定や点検ゲージなどの設備を用いて行われる。一般的に、1年~2年の周期で定期的な校正が必要とされている。
写真1 3針測定
写真2 点検ゲージ
日常点検による摩耗管理の重要性
ゲージは「校正しているからOK」ではない。定期的に校正を行うだけでは校正時に規格内だったねじゲージが次回の校正までに摩耗で規格を外れてしまう可能性があるからだ。次回の定期校正までにゲージが摩耗限界を迎える可能性があるのだ。もしも摩耗限界に気づかず使用し続けたらどうなるか?納品先でのゲージ全品不良、不適合品流出による品質クレームの発生といった会社の信頼を損なうトラブルに繋がりかねない。従って、使用前にねじゲージの摩耗状況を確認する「日常点検」をおすすめする。しかし、一般的には摩耗状況をねじゲージの見た目から判断することは困難である。さらに、ねじプラグゲージは三針測定による校正となり、高い測定技術を必要とする。
重要なのはゲージの日常点検において摩耗状況を誰でも簡単に管理する仕組みを作ることだ。
ねじゲージの日常点検方法
摩耗点検ねじゲージを使った日常点検
日常点検のやり方の一つに、摩耗点検ゲージを使った判定方法が挙げられる。摩耗限界を超えていないかを確認できる「摩耗点検ねじゲージ」は日常点検に有効である。摩耗点検ゲージを使うと、いつでも誰でも簡単にゲージの摩耗を即時発見できる。主な判定方法は表1のとおり。日常点検シートを用意し、ねじゲージの検査結果を記入して管理するとよい。
表1 摩耗点検ゲージ一覧
TiNコーティング ねじ用限界ゲージを使った日常点検
日常点検を形骸化させないためには、より誰でもいつでも簡単にできる摩耗管理できる仕組みをつくることが重要だ。
例えばOSGのTiNコーティング ねじ用限界ゲージなら、金色被膜があるため、摩耗の程度が目視できて安心だ。(図1)
更に、寿命が延びる、錆びにくいという効果もある。利用者からは、『TiNゲージでの検査体制を納入先へPRできる』との声もあがる程の優れものだ。
図1 目視イメージ
測定機器はものづくりの要である。ぜひいつもの「校正」に、簡単で安心できるこの「日常点検」を加えてみてほしい。きっと工場内のゲージの適切な運用に役立つはずだ。