電線の取り扱いと布設上の注意
ゴム、プラスチック電線の誤った取り扱い、また工事の不備による事故を防止するため、次にあげる事項を特にご注意下さるようお願いいたします。
1.電線の被覆用材料と取扱いについて
ビニルは取り扱い方によっては割れることがあります。
塩化ビニル樹脂をベースとした被覆用材料は、常温では柔軟性がありますが、低温ではもろく割れやすくなります。一般に電線に過激な衝撃を与えたり、床の上にたたきつけるようなことはさしひかえなければなりません。とくに寒冷地でビニル電線を取り扱うときは注意して下さい。
ポリエチレンは、紫外線で割れる事があります。
ポリエチレン、架橋ポリエチレンは、紫外線によって亀裂が発生する事があります。けい光灯にさらされる場合などは、十分な絶縁性能を有する耐紫外線性のチューブ又はテープなどで、絶縁体を保護する必要があります。
無理な張力を加えない。
延線時には、コロなどを使用し電線に無理な張力を加えないようにして下さい。延線工事の際の許容張力はおおよそ次のとおりです。
許容張力
延線用具 | 導体種類 | 許容張力 N |
---|---|---|
プーリングアイ | 銅 | 70MPa{7.1kgf/mm2}×(ケーブル線芯数)×(導体断面積mm2)以下 |
アルミ | 40MPa{4.1kgf/mm2}×(ケーブル線芯数)×(導体断面積mm2)以下 | |
ワイヤーネット (ケーブルグリップ) |
銅・アルミ | ビニルおよびポリエチレンシースの場合10MPa{1.02kgf/mm2}×(シース断面積mm2)ただし、 導体の許容張力を超えないこと |
備考
- 管路布設等で単芯ケーブルを1孔に3条引入れする場合は、ケーブル線芯数を2芯として計算して下さい。
- ワイヤーネットを用いて延線する場合は、ケーブルにワイヤーネットを500mm以上かぶせ、ワイヤーネットの先端はバインドして下さい。
延線ルートの障害物は取り除く。
延線に際しては小石、突起、コンクリート枠板その他の障害物は完全に取り除いて下さい。また工事現場、異物落下衝撃、足場板、荷造木枠の釘による外傷などが発生しやすいため十分注意して下さい。
屈曲半径は大きく。
ゴム、プラスチック電線は、紙、鉛被ケーブルなどに比べればある程度の屈曲性はありますが、極度に屈曲しますと電気的性能を低下させます。布設に際しましては各商品ページに記載してある許容曲げ半径の値以下には屈曲しないよう注意して下さい。
アースは確実に。
シールドのあるケーブルを布設する際は、必ずシールドを確実に接地しておいて下さい。接地いたしませんと電線自体の特性を十分いかせないばかりではなく、安全上にも問題が出てきます。
導体には水がはいらないように。
電線の導体中に水分が侵入すると、電線の寿命を著しく損ないます。とくに地下管路、ダクトなど水のあるところへ引き込むときには、端末部のシールを完全に行って下さい。またケーブルを切断し、そのまま放置する場合は、直ちに自己融着テープなどで切り口を完全に防水処理して下さい。
2.屈曲寿命の最大限の生かし方(ケーブルの性能を保証するものではありません、参考としてご覧下さい。)
3.ケーブルキャリアの配線について(ケーブルの性能を保証するものではありません、参考としてご覧下さい。)
電線選定
特性レーダーチャートのケーブルキャリア試験結果「5」の商品を選定することをおすすめします。
ケーブルキャリアの選定
①ケーブルキャリア曲げ半径 | 電線の仕上り外径の7.5倍以上をケーブルキャリアの曲げ半径としてください。 |
②ケーブルキャリア横幅 | ケーブルキャリア内に電線を水平に並べ、 十分余裕があるような横幅のケーブルキャリアを選定してください。 |
③ケーブルキャリア内仕切板 | できるだけ多くの仕切板を設け、区別配線をしてください。 (電線毎に仕切板を設けることが理想的です。) |
配線上の注意事項
①電線のねじれ | 電線表面の印刷表示を目安にして、 電線にねじれが入らないように、配線してください。 |
②エアーホース等との配線 | エアーホース等の硬いものと一緒に配線する場合は、必ず仕切板を設けて、 エアーホースと電線を区別してください。 |
③混配線しない | 混配線すると、電線同士が干渉し合うことで、 各電線が持っている特性を十分に発揮できません。 仕切板を設けて、干渉しないような配線としてください。 |
④張力は加えない | 布設時、電線に張力を加えたまま配線すると、 ケーブルキャリアの内側R内壁部で、シースが削れてしまいます。 ケーブルキャリアの外側Rに沿った状態(張力が加わっていない) での配線としてください。 |
⑤ケーブルキャリア内での固定 | 電線をケーブルキャリア固定部に固定すると 電線が持つ曲げ応力の吸収または分散作用が失われてしまいます。 電線の固定はケーブルキャリアの可動しない両端末のみ固定してください。 |
⑥ケーブルキャリア内のケーブル占積率 | ケーブルキャリア内の電線の占積率は30%以下が理想です。 |
⑦外径が大きく異なるケーブル同士を配線しない | 外径が大きく異なる電線同士を配線すると、 細いケーブルが太いケーブルに押さえつけられることがあります。 仕切板にて分離させると効果的です。 |
配線事例
下図のような配線をお薦めします。