ショートショット
- 1.充填圧力 プラスチック射出成形条件において、充填圧力は、樹脂を金型内へ充填させるための圧力のことで、一次圧力とも呼ばれています。単位は、MPa、またはkgf/cm2です。つまり、圧力の単位となります。射出成形機の最大射出圧力を100%としてその何%であるかを変化させて条件調整をする機械もあります。(例:35%) 充填圧力が低すぎる場合には充填不良(ショートショット)が発生します。充填圧力が高すぎる場合にはパーティング面が圧力で瞬間的に開いてしまい成形品の周囲にバリが発生する場合もあります。また金型からの離型不良が生ずる場合もあります。 2.射出速度 射出速度は、金型内へ溶融したプラスチックを充填する際のスピードのことです。単位はmm/sとなります。 単位時間あたりの射出体積として考えた場合には「射出率」として表示する場合もあります、この場合には単位はcm3/sとなります。 射出速度が遅すぎる場合には充填不良が発生する場合があり、射出速度が速すぎる場合にはバリ、ジェッティング(成形品表面に蛇行した模様が発生する不良)が発生する場合があります。
- プラスチック成形材料は、一般にペレット状態に加工されて、紙袋などに入れられて原材料メーカーから搬入されてきます。 ペレットには、大気中の水分が吸湿されていますので、水分が多く含まれたままで射出成形加工してしまいますと、樹脂の種類によっては加水分解を発生したり、物性が低下したりする場合があります。また、銀条(シルバーストリーク)が成形品の表面に発生したり、ガスによるショートショットや焼けが発生しやすくなる場合もあります。 そこで、成形材料の多くは、ホッパードライヤーへ投入する前に、箱形乾燥炉で予備乾燥させることが必要になります。 予備乾燥は、適切な乾燥温度と乾燥時間を守ることが推奨されます。適正な温度以下でいくら長時間乾燥させても、水分は思うように排除できない場合があるからです。予備乾燥が終わった材料は、できるだけ早く使いきるようにします。余ってしまった材料を後日使用する場合には、再度の予備乾燥を行いましょう。 【表1】には、特殊なプラスチックの予備乾燥条件を示しています。 【表1】プラスチック成形材料の予備乾燥湿度
- プラスチック成形材料のペレットは、一般的に空気中の水分をある割合で吸水しています。 吸水量が多いと、射出成形機のシリンダーの中で溶融混練している過程で樹脂が加水分解を起こしたり(水を引き金として化学分解を起こす樹脂もあります)、射出成形した際に成形品の表面に銀条(シルバーストリーク)が走ったり、気泡、光沢不良、転写不良などを起こすことがあります。 そこで、成形材料のペレットは、あらかじめ乾燥装置に投入して水分を除去することが必要になります。 予備乾燥を適切に行わないと、流動性の変動や物性の低下、成形不良を引き起こす原因となります。 乾燥装置には、以下の種類が主に使用されています。 (1)熱風乾燥機 ホッパードライヤーと箱形乾燥炉が代表的な装置です。熱風をペレットに吹きかけて水部を蒸発させる方法です。 一般的な簡便な乾燥方法ですが、水分を充分に取り除きたい場合には適していません。
- ショートショット(shortshot)は、成形品の一部に不完全な充填が起きる現象です。 ショートショットには、性格的に2種類の原因が考えられます。 1つ目は、溶融樹脂が流動する途中で、流動先端部分が冷却固化するために発生するものです。 2つ目は、流動する過程で、流れの状況によって空気溜まり(エアトラップ、air trap)が生ずるために発生するものです。 ショートショットの解決対策としては、上記のいずれのタイプであるかを確認する必要があります。