棚・ラックの選定から組み立てや設置などにあたって必要となる基本的な知識について紹介しています。
棚・ラックの基本
基本構造
棚・ラックの基本部品は「支柱」と「棚板」です。
これに加え支柱に棚板を止める「棚受」などと呼ばれる部品を使用したり、ボルト(ねじ)で止めたりします(棚受やボルトなどを必要としない棚・ラックもあります)。
段数4段
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素材
棚・ラックの素材には鋼やステンレスが使われることがほとんどです。
鋼製の場合は、表面を塗装やニッケルメッキなどで処理しています。
ステンレス製は、素材のさびにくさを活かして水分の多い場所などで使用されています。
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用途
棚・ラックの用途には、物品の収納、仕分け、陳列などが挙げられます。
収納する物品や設置場所などに応じて素材や大きさ、棚板の段数などを選べるように数多くの製品が展開されています。
段数の数え方
棚・ラックの「段数」は一般に一番上の棚板、中段の棚板、一番下の棚板の全てを段数として考えます。
例えば「段数3段」の場合、一番上の棚板、中段の棚板1枚、一番下の棚板の3段となります。
段数3段
段数4段
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耐荷重
棚・ラックを選ぶ際の重要な要素に耐荷重も挙げられます。
耐荷重とは、どれだけの重さの物品を棚・ラックに載せられるかの目安で、棚板1段当たりと棚1連当たりの両方が示されることが多いです。
例えば、棚の耐荷重「150kg」という場合は、一般に棚1段に均等に150kgの物品を載せることができるという意味です。棚板の特定の部分(一部分)に150kgの物品を載せられるという意味ではないので注意が必要です。
棚1連当たりの場合も同様で、全ての棚段に均等に物品を載せた場合の耐荷重です。
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棚板の追加、取り外し
棚板は固定棚と可動棚に分けることができます。
一般に一番上の棚と一番下の棚は移動できない固定棚になっています。 また、上下の中間位置にある棚板1枚程度も固定されていることが多いようです。
取付位置を上下に変更できる稼働棚については、必要に応じた取り外しや追加が可能になっている製品が多くあります。
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棚・ラックの連結
棚・ラックには、単体で使用可能な形状のほか、他の棚・ラックと組み合わせて使用する前提の形状があります。 他の棚・ラックと組み合わせて使用する前提の製品を「連結タイプ」などと呼びます。
一方、単体で使用する前提の製品は「単体タイプ」などと呼びます。
単体タイプの一部には、複数の単体タイプを連結するためのオプションが設定されており、このオプションを使用することで複数の棚・ラックを連結して使用できます。
左:単体タイプ 右:連結タイプ
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棚・ラックのオプション部品
棚・ラックには主に以下のようなオプション部品が設定されています。
名称や機能の詳細はメーカーにより異なる場合があります。
名称 | 機能など |
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こぼれ止め | 棚板から物品が落ちるのを防止するためのストッパー。 |
壁面固定金具 | 棚・ラックを壁面に固定するための金具。 |
連結固定金具 | 複数の棚・ラックを連結するための金具。 |
耐震固定金具 | 棚・ラックを床面に固定するための金具。 |
オプション棚板 | 追加用の棚板。 |
背板 | 棚・ラックの背面側に取り付ける板。棚板から背面方向への落下を防止。 |
側板 | 棚・ラックの側面側に取り付ける板。棚板から側面方向への落下を防止。 |
キャスター | 棚・ラックの下部に取り付けて、棚・ラックを移動可能にする。 |
アジャスター | 棚・ラックの下部に取り付けて、棚・ラックの水平を調整する。 |
よくある質問
よくある質問と回答の例を紹介します。
質問 | 回答 |
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組立時の締付トルクはどの程度がよいか? | 取扱説明書などに明示されている場合は、それに従ってください。明示されていない場合は、一般的な手締めのトルクとしてください。ボルトの寸法から適性締付トルクを算出する方法については、こちらを参照してください。 |
連結タイプだけでの使用は可能か? | 連結タイプだけでは使用できません。単体タイプと組み合わせてお使いください。 |
棚・ラック本体と異なるメーカーの支柱や棚板を使用可能か? | 他メーカーとの組み合わせ使用は想定されていないことが大半と思われます。支柱や棚板などの追加入手が困難となった場合は棚・ラックごとの買い替えを推奨します。 |
耐震設置は可能か? | 耐震設置については建物を含めた検討が必要なため回答が難しいです。一方、棚・ラックの転倒防止については、専用の転倒防止金具がオプションとして用意されている商品があり、そのオプションをご利用いただくことで一定の効果が期待できます。また、汎用の転倒防止具を利用できる場合もあります。 |
ピッチとは何ですか? | 棚板を移動できる寸法の最小単位です。移動可能な棚板の場合、ピッチの単位で上下に移動できます。 |
ボルトレスとは何ですか? | 組み立てにボルト(ねじ)を使用しない棚・ラックを一般に「ボルトレス」「ボルトレスタイプ」を呼んでいます。工具を使用せずに組み立てや分解が可能で作業時間も短いですが商品の種類は限られます。詳しい説明はこちらをご覧ください。 |
組み立て時間はどの位か? | 組立作業は安全性を確保する観点から2人で行うことが推奨されているケースが多く、1台当たり1時間以内が大半のようです。ただし、使用する工具や作業場所などにも影響を受けるので目安とお考えください。なお、組み立ては一般に支柱と一番上、一番下の棚板を取り付けたあと、中間の棚板などを追加する流れで行うことが多いです。 |
どのような荷姿で納品されるか? | 一般に棚・ラックは組立式となっていることが多く、棚板、支柱、その他部品が細長い板状の梱包にまとめられていることが大半です。 |
キャスターは取り付けられるか? | 専用キャスターが用意されている製品では、専用キャスターを入手していただければ取り付けられます。なお、キャスターを取り付けた場合、一般に耐荷重が小さくなります。また、物品を載せたままでのキャスター移動は危険なので避けてください。 |