全ての機械装置はさまざまな部品を組みつけて製作されています。したがって、自動機をはじめ全ての機械装置は部品図が最終の出力情報となります。ここでは自動機の部品図作成のポイントを解説します。
- 自動機の価格は次のような構成で決まってきます。
自動機の価格=設計費+部品加工費+購入品費+組立費+利益
- 自動機のコストパフォーマンスを高くできるのは、自動機設計者です。
即ち、- (1)
- 短時間で設計を終える設計力
- (2)
- 部品加工費を少なくする設計力
- (3)
- 購入品費にムダを少なくする設計力(例:標準品採用、同一品の同時購入、オーバーSPEC回避)
- (4)
- 組立しやすい構造による組立費を少なくする設計力
- (5)
- 欲しくなる自動機外観と性能による適正利益を得やすい設計力
- 部品図の設計は自動機価格に大きな影響を及ぼします。直接的には部品加工費と組立費に影響。
- 項目(2)の部品加工費を少なくするには、可能な限り既成部品(例:ミスミメカニカル加工部品(Cナビ))を利用すること。
- 部品図設計をする場合は、部品加工費のムダを極力少なくするため必要以上に寸法公差を付けない設計力が重要。
- 設計者は、自動機の最終精度を確実に得たいために部品図に寸法公差を多く入れたくなりますが、寸法公差を守るために部品加工工程でそれだけ加工費が上乗せされていることを意識する必要があります。
- 【図1】はカラーボールの移載用ハンドのチャックツメです。球形状のカラーボールを2個の平面チャックで安定して掴むために2個のチャックの位置を一致させる必要があり、位置決め溝幅に寸法公差(赤矢印)を付けています。
- 近接センサ用穴はプラス公差としてガタが少なく確実に挿入できる穴となるよう寸法公差(赤矢印)を付けています。
- 仕上げ品質の指示は3箇所にあります。全体の仕上げはラフとして、3箇所のみ良い仕上げ(黒矢印)指示としています。
表面性状表記は JIS B 0031 (1994)によります。