磁気をコントロールするための塗料です。我々の周辺には、この塗料による製品が満ち溢れています。
 それは、VTRテープ、オーディオカセットテープ、コンピュータ用MTなどをはじめ、クレジットカード、鉄道用切符、定期券、高速道路通行券、バス回数券、テレフォンカード、オレンジカードなどで、いまや産業分野や社会生活を営む上で欠かせないものになっています。
 磁性塗料は、磁性体(粉)、バインダー樹脂、添加剤、溶剤などで構成されています。磁性粉の代表的なものは、γFe2O3、CrO2、Feを主成分とするメタルパウダーです。
 磁性塗料は記録密度の大きさから、水平記録用にBaフェライト、γ-Fe2O3・Fe3O4、Co-γFe2O3・CrO2などで、垂直記録用にはメタルパウダー・Co-FeOx、Baフェライト・六角板状蒸着・スパッター・Co-Crなどに大別されます。
 バインダー樹脂としては、ポリウレタン、塩化ビニール・酢酸ビニールなどが使用され、ベースのPET(ポリ・エチレン・テレフタレート)に対する付着力、耐磨耗性、硬さ、滑り性、磁性粉の分散性などの諸特性を向上させています。

 【表1】に、磁性膜に要求される特性とその支配要因を示します。

【表1】磁性膜に要求される特性とその支配要因

要求特性支配要因
磁性体バインダベース分散塗布加工
感度、再生出力、飽和・残留磁束密度が大○  ○○ 
周波数特性、短波長記録特性良好○  ○○○
保磁力が適当○     
SN比が良好○  ○○○
出力変動が小   ○○ 
転写量が小○     
高周波歪率が小○   ○ 
電気抵抗低く静電気トラブルなし○  ○  
電磁変換特性の温度変化、経年変化が小○○○   
適当な柔軟性を有する ○○   
摩耗係数低く走行が滑らかなこと ○○   
ヘッドの摩耗が小さいこと○○    
ベースとの付着が良好 ○○   
長期保存で粘着劣化がないこと ○○   

 記録密度は年々向上しています。