いままで述べてきた塗料は一般に、被塗物を環境から保護することや、色彩や光沢を与えて美観を向上させて、商品価値を高めるために使用されてきましたが、近年、耐熱・電導・潤滑・抗菌・消臭など、特定の機能をもった塗料が使われるようになりました。そのいくつかを紹介しましょう。

耐熱塗料

 高温で使用する暖房器や調理機器には、塗膜自体の耐熱性のほかに素地である鋼板の酸化、焦げ付き防止などの機能が求められます。

 耐熱塗料の種類を【表1】に示しましが、有機系のもの、無機系のもの、これらの両方を使用したものに大別できます。

 耐熱塗料は、シリコーン樹脂系とフッ素樹脂系が主流を占めてしますので、これらについて特徴を説明しましょう。【表2】に、シリコーン樹脂系耐熱塗料の種類と特徴を示します。
【表1】耐熱塗料の種類
有機耐熱塗料シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、芳香族樹脂系、イミド樹脂系
無機耐熱塗料アルカリシリケート系、コロイダルシリカ系、酸性金属りん酸塩系、重クロム酸系、ほうろう系
有機・無機耐熱塗料アルキルシリケート系、アルキルチタネート系、ボロンシロキサン系

【表2】シリコーン樹脂系耐熱塗料の種類と特徴

塗料構成特徴
純シリコーン樹脂塗料メチル基、フェニル基をもつシロキサンポリマー耐熱性:200~250℃
メチル基が多くなると塗膜の可とう性、撥水性は増すが、耐熱性は低下する
変性シリコーン樹脂塗料アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などで変性したシリコーン樹脂耐熱性:150~200℃
塗膜の密着性、耐薬品性、機械的特性などで純シリコーン樹脂より優れるが耐熱性は低下する
無機質フィラー添加シリコーン樹脂塗料耐熱顔料、アルミニウム粉末、グラファイト、セラミック粉末などをシリコーン樹脂に添加したもの耐熱性:300~600℃
300~500℃でシリコーン樹脂の側鎖が分解して無機系塗膜になる。更に高温では鉄鋼中に拡散して合金層を造る。耐熱性600℃以上。

 【表3】に、フッ素樹脂塗料の種類と耐熱温度を示します。フッ素系樹脂は素地との付着性が悪いので、前処理を十分に行うことが必要です。 【表3】フッ素樹脂塗料の種類と耐熱温度(℃)
塗料形態樹脂と耐熱温度(℃)
ディスバーション塗料PTFE四フッ化エチレン(260)、FEP四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合(200)、PCTFE三フッ化塩化エチレン(180)、PVFフッ化ビニル樹脂(150)
粉体塗料FEP(200)、PFA四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合(260)、PVdFフッ化ビニリデン(150)、ETFE四フッ化エチレン・エチレン共重合(150)、ECTFEエチレン・三フッ化塩化エチレン共重合樹脂(150)