(1)ステンレス鋼製ボルトの機械的性質
1. ステンレス鋼製ボルトの機械的性質
- ステンレス鋼製ボルトの機械的性質も強度区分の数値で表現しますが、鋼製ボルトの表現法とは異なります。
- 【表1】は、ステンレス鋼製ボルトの機械的性質の規定(ISO 3506-1:1997の一部)です。
【表1】ステンレス鋼製ボルトの機械的性質(ISO 3506-1:1997より抜粋)
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2. 表中の強度区分の数値の読み方
- 強度区分の数字は最小引張り強さの呼びの値の1/10を表します。
例:オーステナイト系材料でA2-50の強度区分とは、引張り強さ=500(N/mm2)を保証、耐力=210(N/mm2)、破断するまでの伸び=0.6dである機械的性質を示しています。 - ステンレス鋼種別(オーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系)に分類され、かつ、マルテンサイト系では熱処理の違いによって強度区分が定められています。
(2)ステンレス鋼製ナットの機械的性質
- ステンレス鋼製ナットの機械的性質も鋼製ナットの現し方と同様に強度区分で示し、対となるボルトの強度区分と対応した保証荷重応力によって現されます。
- ステンレス鋼製ボルトの強度区分は鋼種区分別に決められており、ステンレス鋼製ナットは対となるステンレス鋼製ボルトと使用されることから、ステンレス鋼製ナットの材料強度は、同材料のボルトの材料強度と同一と考えてよい。
- そのため、ステンレス鋼製ボルトとナットの結合体では、ねじ山部でのせん断破壊は起こらないと考えられるが、かみあい山数が少ない低ナットの場合は、ねじ山部でのせん断破壊に注意が必要。