精密位置決めには、(1)アクチュエータ、(2)精密位置決め機構、(3)制御方法の3要素技術が関係してきます。ここでは(2)精密位置決め機構のなかで、ミクロン〜ナノの領域で採用される、微小位置決め機構用平行ばねを紹介します。
(1)平行ばねの原理(【図1】参照)
- 平行四辺形の形状は、高さを変えても対の2辺は常に平行となることを利用して、1軸の微小移動用案内に採用されます。
- ばねの作用として常に一方向にばね力が働くため、バックラッシュが無視できます。
(2)平行ばねとアクチュエータの組合せ事例
(1)平行ばねと(ボールねじ+回転モータ)の組合せ(写真1)
この場合は、直動案内に対してボールねじの振れにより生じる直動誤差(ピッチング、ヨウイング)を抑えるために、ボールねじナットのハウジングに平行ばね構造を持たせたもの。
(2)平行ばねとピエゾアクチュエータの組合せ
多くのナノステージに採用される構成です。一般的な2軸直動ユニット(リニアガイド+ボールねじ+回転モータ)を粗動用ステージとし、その上に搭載して微小位置決め制御を行います。
※ | 図2:ピエゾ素子を組んだ平行ばねの駆動機構例・・・<出典:超精密工作機械の製作;江田弘著より> |
※ | 図3:同上による6自由度機構・・・<同上> |
※ | 写真2:駿河精機のナノコントロールステージの平行ばねテーブル・・・<駿河精機カタログより> |