射出成形:基礎知識(二次加工)
- 射出成形加工されたプラスチック成形品は、2以上の成形品どうしを後加工で接合して製品にすることがしばしば行われます。一回の射出成形で加工できればよいのですが、アンダーカット形状がある場合などは2部品を作ってから、溶接などで接合しなければならない場合もあります。 プラスチック成形品の接合加工法としては以下の方法があります。 1.熱接着法 金属板を電熱ヒーターで加熱して、成形品を加圧して融着させる方法です。フィルムや袋などで多用されています。 2.瞬間熱接着法 熱接着法の一種ですが、金属リボンヒータに加熱して融着させます。金属リボンヒータは細いので加熱と冷却に要する時が瞬間になりますので、接合部がきれいにしっかりと接合させることができます。 3.ホットジェット 電熱ヒーターを内蔵したエアーブロー装置から熱風を送り出してプラスチックを融着させる方法です。ヘアドライヤーと類似した方法です。溶接棒を用いて肉盛りしながら接合させることもできます。 4.高周波誘電加熱接着法 高周波を送ることでプラスチックの部分を加熱して接合させる方法です。フィルム、シートの接合で多用されています。タグ:
- プラスチック成形品は、成形加工後に二次加工として塗装や色入れなどの色彩を付与することで付加価値を高める工程を採用する場合があります。文字やロゴマークの印刷、ウエルドラインやフローマークを目立たなくするための表面塗装、金属光沢を得るためのメタリック塗装などがあります。 塗装は塗料やインキを使用するのが一般的です。これらの組成は、ビヒクル、助剤及び顔料から構成されています。 ビヒクルは、樹脂と溶剤と添加剤を混合させたものです。 平板インキでは、樹脂としては石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂が主に使用されます。 グラビアインキでは、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が主要な樹脂になります。 塗料では、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が使用されています。 溶剤としては、平板インキでは高沸点石油系炭化水素溶剤が使用されています。 グラビアインキでは、イソプロピルアルコール、酢酸エチル等が採用されています。塗料ではキシレン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールが利用されます。 助剤には、粘度調整剤、ゲル化剤、乾燥調整剤、可塑剤、滑剤、静電気防止剤、界面活性剤、消泡剤などがあります。タグ:
- プラスチック成形品を、他のプラスチック部品と接合して使用する事例もたくさんあります。プラスチック部品どうしを接合する手段には、以下のような方法があります。 (1)接着 接着剤を使用して接合する方法です。プラモデルの接合と原理は同じです。ホットメルト剤を使用して、より強固に接着する方法もあります。 (2)超音波溶着 超音波を接合面に発振させて、摩擦熱によって溶着させる方法です。短時間で比較的精密に接合ができます。超音波溶着機が必要になり、成形品の接合部分によって専用のホーンを製作する必要があります。 (3)熱風溶接 熱風を吹きかけて軟化させた部分を接合させる方法です。単純な方法ですので、精密な溶着には向いていません。 (4)スピン溶接 円筒形状の成形品を回転させながら接合させる方法です。接合面に発生する摩擦熱を利用します。 (5)摩擦溶接 接合面どうしを摩擦させて、発生する熱で溶着させる方法です。タグ:
- 金型から生み出されたプラスチック成形品は、その表面に着色したり、文字を印刷したりして、機能を向上させる二次加工がなされる場合があります。 プラスチック成形品に施される表面処理には、以下のような種類があります。 (1)塗装 有機系の塗料(いわゆるペンキのような塗料)等を、刷毛(はけ)で塗布したり、スプレー塗装する方法です。 用途によってマスキングを施したり、塗装の雰囲気を特別にしたりする工夫がなされます。 静電塗装や焼き付け塗装などの特殊な方法もあります。 (2)印刷 シルクスクリーン印刷、タンポ印刷、浸透印刷などがあります。文字や図柄を印刷する方法です。 印刷する場所が曲面であると結構印刷が困難になりますので、成形品の設計の際には、印刷したい場所は平面になるような工夫を盛り込むと良いでしょう。 (3)フィルム転写 薄い樹脂製フィルムに、あらかじめ印刷されている文字や絵柄を転写させる方法です。 金型の内部で転写させるインモールド転写法も開発されています。タグ: