原型からネガティブの注型によるプラスチック型取り母型を作り、この母型に導電性を付与して電鋳し、原型と同じ電鋳製品を量産する方法です。
この方法は、原型を型枠に入れて、シリコンゴムやエポキシ樹脂を型に注入します。これらは、注入する前に樹脂の主剤と硬化剤の2液をよく混合しておきます。この時、空気が巻き込まれるので、真空脱泡して気泡を除きます。また、枠に注入してからも真空脱泡すると、気泡のない母型が得られます。
注型に用いる樹脂は、主剤と硬化剤との反応による2液タイプの樹脂を用いますが、1液タイプもあります。2液タイプには硬質・軟質ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が用いられますが、原型に忠実精密に転写させるためには、粘度の低いものを選ぶ必要があります。混合後の粘度は1000cps以下が適しているといわれています。
樹脂の硬化時間は、シリコンゴムでは常温で15時間位ですが、50~60℃に加熱すると3~4時間に短縮されます。このように、一般の化学反応と同じように10℃温度が上昇すると硬化時間は1/2に短縮されますが、硬化による収縮率が大きくなりますので、できるだけ時間をかけて硬化させるようにします。各種注型用樹脂の特徴を【表1】に示しました。
注型による母型の精度を左右する常温硬化による寸法収縮率は、シリコンゴムで0.1~0.2%、エポキシ樹脂0.3%、ウレタン樹脂0.3~0.5%ですが、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂では7~10%と大きいので、これらの樹脂は、美術工芸品などの母型に使われます。
【表1】各種樹脂の特徴
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備考: *ゴム硬度、**ショアD、***ロックウェル、****25℃7日後