各種のポンプを駆使して、真空容器内を真空にしても、その真空がどの程度であるか。具体的には何パスカルであるかが分からなければ、ドライプロセスを行うことはできません。その目的のために、各種の真空計が使われています。
現在使われている真空計の主なものの動作原理と測定範囲を【表1】に示しました。表から分かるように、105〜10-10というような広範囲の圧力を、1台の真空計で測定することはできません。したがって、測定範囲に対応した各種の真空計を組み合わせて使っています。
表1.各種真空計の動作原理と測定範囲
[1] は、トリチェリーの測定原理をそのまま真空計に利用したものです。液柱の読み取り限度は1mmくらいですから、液体に水銀を用いた場合には133Pa(1Torr)位が測定限界になります。そこで液体に比重1のシリコン油などを使えば133/13.6≒10となり、約10Pa位まで測定できます。
[2] のブルトン管真空計は、通常の圧力計に使われているものと同じ原理で、ブルトン管の変位で真空計の指針が動きます。隔膜真空計は、圧力計計器の中が金属・有機物・石英・ガラスなどの隔膜で仕切られており、一方の部屋を真空容器に接続し、片方の部屋には電極を設け高い真空に保たれています。真空容器の真空度が高くなると、隔膜は容器側に変位するのでその変化を機械的に、あるいは電気的に捉えて真空度を測定します。
[3] [4] [5] [6] 真空度が高まるにつれて測定方法は、高度なものになります。
以上のべたのは、真空容器内の圧力全体を測定するもので、これを「全圧計」といいますが、特定の気体の圧力を測定する「分圧計」もあります。例えば、残留ガス中特定のガスが、薄膜の特性に重大な影響を及ぼすような場合には、これらの分圧を知る必要があるからです。