(1)めっき前処理工程
溶融亜鉛めっきの基本的な作業工程は、次の【図】に示すとおりです。
大雑把にいいますと、めっき素材表面の錆・スケール・油脂などを除去する前処理工程、溶融した亜鉛の中へ素材を浸漬して表面に亜鉛の皮膜を形成するめっき工程、めっきされた製品を要求される品質に適合させる仕上げ工程になります。
脱脂はバッチ処理においては、アルカリ脱脂など湿式法が行なわれますが、フープなど連続処理においては、鋼材の焼きなましを兼ねて700〜900℃の加熱炉を通過させて行います。
酸洗は、鉄鋼上に形成されている酸化物などを除去して、亜鉛と鉄素地の間に合金を生成させ密着性を高めるために重要な工程で、通常、硫酸か塩酸が用いられます。
ブラストは、砥粒やガラスピーズを高圧空気で吹き付けて、錆やスケールを除去する方法で、酸洗により水素を吸蔵して脆化する炭素鋼や高張力鋼などに適用されます。ショットブラスト、グリットブラスト、サンドブラストなどを行うと表面が粗化されるので亜鉛皮膜との密着性が向上します。そのために、高付着量と密着性向上の目的でブラストする場合もあります。
酸洗後フラックス処理を行なう目的は、製品表面での鉄と亜鉛の反応をスムーズに行なうためのもので、鉄表面の付着物や酸洗後発生した微弱な錆を除去し、めっき浴に浸漬したとき、溶融している亜鉛表面の酸化亜鉛をなくす効果もあります。
フラックス処理には、乾式法として加熱した10%塩化亜鉛アンモン水溶液(塩化アンモンの場合もある)に浸漬したのち予熱乾燥する方法と、湿式法として、めっき浴の溶融亜鉛上に塩化亜鉛アンモンの溶融塩をつくり、その溶融塩を通して処理する方法があります。