環境保全
- (6)整流器 整流器は、交流電力を各種の表面処理に適した電圧に下げて直流電力に変換する装置です。従って、トランス(変圧器)、整流体、制御装置などで構成されています。 昔の整流器は、次に示すような構成で、めっきなどの電流調節には、直流電圧を調節することによって行ってきました。 これに対して現在の整流器は、次のようにサイリスターなどの半導体の位相制御によって行われています。タグ:環境保全,
- (4)受変電トランスの無負荷損失 受変電室にはいくつかのトランスがあり、6600ボルトの高圧電力を受電して、200Vや100Vに降圧して工場に電力を供給しています。 しかしこれらは、工場が休止している夜間でも、休日でも、高圧側の入力スイッチを切らない限り、僅かですが電力を消費しています。それが【表1】に示す、トランスの無負荷損失です。タグ:環境保全,
- (3)実量制とは 高圧電力Bより大口の需要家は、従来から使用実績(最大電力)により契約電力が決められてきましたが、それより小口の需要家である高圧電力Aでも、そのような制度が徐々に採用されてきました。それが実量制です。(電力会社との契約の種類はこちら) 高圧電力A契約(契約電力51〜500KW未満)における契約電力は、昔は受変電設備の容量(KVA)に圧縮率を乗じて決定されていました。例えば、変電トランスの合計容量が350KVAであれば、これに圧縮率を乗じて(350×0.5)+45=220KWというようにして契約電力が決定され、使用の状態に関係なく、この値が基本料金の対象として持続されてきました。 ところが、変電所2次側(200V)の力率改善が進み、契約電力以上の電力が消費されるようになってきたことから、実量制が採用されるようになりました。これは、受変電設備の容量に関係なく、電力の使用状態に応じて契約電力が決まるというものです。タグ:環境保全,
- (2)電力の使われ方 電力が一日あるいは一月にどのような使われ方をしたか知ることは非常に大切なことです。大手の事業所では当然このような電力消費の動向を連続的に把握していますが、中小企業ではそう簡単ではありません。そこで、簡便な方法として、電力量計の消費電力量を1時間毎に記録してその差をみれば、毎時の消費電力が分かります。このようにしてある日の2工場について調べた結果を【図1】、【表1】に示しました。タグ:環境保全,
- (1)電気料金の仕組み 通常、表面処理の工場で支払う電力料金の内訳は、次のとおりです。 電力料金(円/月)=基本料金(円/KW)+電力量料金(円/KWh)±燃料調整額+消費税(5%) この式の内容をもう少し詳しく説明しましょう。 (1)基本料金 基本料金は、電力会社との間に交わされた契約電力に対する料金で、電力を使用しなくても契約している以上支払わねばならない料金です。詳細は、次式で表されます。タグ:環境保全,
- 表面処理工程内において、電力を有効に使うために、次のような対策がとられています。 (4)直流配線回路の点検 【図1】は、亜鉛めっきラインの整流器からめっき槽までの直流配線回路の直流電圧測定点を示したものです。デジタル式テスターで測定して、【表1】に示す結果が得られました。 AB両工場は、やや同じ規模の亜鉛めっき状態ですが、電気エネルギーの使われ方には大きな差があります。タグ:環境保全,
- 表面処理工程内において、電力を有効に使うために次のような対策がとられています。 (1)浴組成と陰極電流効率 前回、低電流効率の例としてクロムめっきをご紹介しましたが、電流効率を高めるために浴組成を変更するという手段があります。【表1】に示すように、従来から使われてきたクロム酸と硫酸で構成されるサージェント浴よりも、クロム酸とケイフッ化物によるフッ化浴のほうが優れていることが分かります。しかし、すべてのクロムめっきが、フッ化浴に転換できるかというとそうではありません。析出したクロム皮膜の物性が異なることや、素地がめっき浴に腐食されることなどがあって、素地による制約などがあります。タグ:環境保全,
- 一口に表面処理といっても、長尺物のサッシュやパネルを陽極酸化処理する工場と、電子部品の金めっきなどを行う工場では、電力エネルギーの原単位には大きな相違があるし、また電気めっき工場と塗装工場では、使用するエネルギー源が異なり、前者が電力であるのに対し、後者は熱であります。 また、電力の用途をみても、金属の還元反応や酸化反応に使用される直流電源(交流の場合もある)が大半を占めるものもありますが、作業環境整備のための排風機や温度調節に大半は使われる工場もあり、一概に、表面処理工場のエネルギー消費構造は、こうであると言い切ることはできません。 一例として、電気めっきのなかで一番電流効率の低い例として、クロムめっきの工場の電力消費効率を【図1】にあげることにしましょう。タグ:環境保全,
- 省資源の項で述べたように、表面処理加工は、その素地となる構造材に美観や耐食性、耐摩耗性などの別の機能を付加して省資源を実現しています。 省エネルギーも同様で、表面処理加工によって、各種の省エネルギー化が図られています。 例えば、自動車などの輸送機械では、軽量化は直ちに燃費向上という省エネルギーにつながります。 車体を構成する鉄板に高強度のものを用いて板厚を薄くするとか、軽量のアルミニウム合金を使うとかによって軽量化を実現しています。タグ:環境保全,
- 通常、建材などアルミニウム合金のアルマイト処理は、次のプロセスで行われています。 このうち、陽極酸化(アルマイト)工程では、通常、硫酸電解浴中で、エッチングによって表面調整されたアルミニウムの表面が、電気化学的に溶解して、陽極で発生する酸素により酸化膜を形成させます。 電解時間の経過に伴って、陽極酸化皮膜は成長しますが、常時硫酸浴中に晒されるため、先に成長した皮膜は、化学的に溶解します。このため浴中のアルミニウムイオン濃度は、時間の経過とともに上昇します。 電解浴中のアルミニウムイオン濃度の上昇は、皮膜の物性等に悪い影響を与えますので、管理限界を定め、これ以下になるようにアルミニウムの除去が行われます。通常、次のような対策がとられています。タグ:環境保全,
- 通常、建材などアルミニウム合金のアルマイト処理は、次のプロセスで行われています。 脱脂→水洗→エッチング→水洗→デスマット→陽極酸化→水洗→封孔→水洗→乾燥 このうち、エッチング工程では、40〜60℃に加熱したか性ソーダ溶液でアルミニウムの表面をエッチングして、自然にできた酸化皮膜や小さいキズなどを除去して、表面調整を行います。 当然、このときエッチング浴では、アルミニウムが化学溶解するのですから、アルミニウムイオンの濃度は上昇します。浴中のアルミニウム濃度の上昇は、品質上いろいろの障害を発生させますので、ある範囲に管理することが必要です。 管理限界を超えた濃厚アルカリ廃液は、小規模工場であれば中和薬品として使用できますが、大規模工場では、別途に処理してアルカリを回収して再利用し、アルミニウムは資源として売却する方法が採用されています。タグ:環境保全,
- (4)イオン交換による吸着と山元還元 クロムめっき後の水洗工程を無排水型にするためには、めっき液の強制蒸発と、最終水洗水のイオン交換処理を行って、不純物の除去を行うことが必要です。フローシートの一例を【図1】に示します。 このシステムは、基本的に次の3つの技術で構成されています。タグ:環境保全,
- (3)金属含有排水の分別処理 通常、表面処理工場の金属含有排水は、酸系排水とかアルカリ系排水とかに分別して、総合排水処理装置に導き、pH調整によって中和処理されますが、ここで発生するスラッジには各種の金属類が混在して、金属資源としての価値は殆どありません。 その理由は、このような混合スラッジからの金属の精錬は、お金がかかって経済的に採算がとれないからです。 そこで考えられたのがニッケル系とか、銅系とか、単一金属排出源別に分別して、それぞれ別個に中和処理を行う分別処理です。 このようにして出来た沈降スラッジを濾過して乾燥すれば、不純物が少なくて、金属含有率の高いスラッジが得られます。これを精錬会社に戻すことによって、有用金属の山元還元(リサイクル)が可能になります。 具体例を示しますと、例えばニッケル系の排水は、苛性ソーダで中和すると、次式のように水酸化ニッケルのスラッジが生成します。タグ:環境保全,
- (2)めっき回収液の電解還元による金属回収 回収液を濃縮すると分解する恐れのある不安定なめっき液や、不純物除去が困難で、めっき槽に戻すことができない回収液は、特別に用意された電解槽に導いて直流電解を行い、めっきと同様の原理で陰極に金属を還元させ、純度の高い金属を回収できます。 また、プリント配線板や金属のエッチング液など金属を溶解する液は、使用につれて金属イオン濃度は高まり、エッチング速度は低下します。これらの液も浴管理のために、過剰の金属を電解で還元除去することによってエッチング条件が管理できると同時に金属回収が可能です。【図1】に金属回収用電解装置の一例を示しました。 この装置は、陽極に白金などの不溶性陽極(白金めっきしたものが多い)、陰極にはステンレス板を用いて、直流電解を行い、陰極面に金属を析出させます。 電解の効率を高めるために、電解液はポンプで電解室内の狭い電極間を強制循環して還元速度を高めます。この方法で回収したニッケルインゴットの例を【図2】に示しました。タグ:環境保全,
- めっき液は有用な金属を含有しています。水洗工程では、これらを工場外へ流出させてしまうことになります。そこで、これらの有価物質を回収するために、次のような対策がとられています。 (1)めっき液や回収液の濃縮再利用 めっき槽の隣にめっき液回収槽を設置して水洗を行えば、回収槽の濃度は徐々に高まり、やがて濃度は飽和します。この回収液を濃縮してめっき液に近い濃度にすれば、自然蒸発の少ない低温度で作業する浴でも、回収液をめっき槽に戻して使用することが可能です。めっき液を直接濃縮しても効果は同様です。濃縮回収システムの一例を【図1】に示します。タグ:環境保全,
- イオン交換塔の組み合わせにはいろいろありますが、めっき排水の浄化のための組み合わせ例を【図1】に示します。各イオン交換塔が吸着できるイオンの種類がよく理解できると思います。 このような吸着特性をもとに、次のような分野で使用されて効果をあげています。タグ:環境保全,
- イオン交換樹脂を用いて水を浄化する方法は、純水製造部門などで古くから採用されてきました。これをめっき排水など表面処理の工程に利用しようとするものです。 イオン交換樹脂には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂があり、これらにそれぞれ強酸性・弱酸性、強塩基性・弱塩基性の樹脂があります。これらのイオン交換樹脂を充填した塔を、イオン交換塔といい、塔の上部から下部に向かって通水します。このとき、イオン交換塔では、次のような吸着反応が起きます。(R:イオン交換樹脂)タグ:環境保全,
- 表面処理工場で使用する水の大部分が洗浄用水といっていいでしょう。前処理から始まって、めっきやアルマイト、化成処理、それらの後処理に至る一連の工程で、それぞれの工程ごとに水洗が行われ、次の工程へ移動しています。この洗浄水の使用量を削減しようとするのが節水対策です。 通常「水洗」は、少しずつ水を流した水洗槽で行われます。つまり、めっき液などが付着した製品を水洗槽中に浸漬して、めっき液を水中に拡散して除去する方法で行われます。 水洗槽は、1槽ではなく、通常2〜3槽連続したものが使われ、一方から製品が、他方から新鮮な洗浄水が移動する方式「向流多段水洗」が行われています。従って、水洗槽の下流槽の水の汚れはひどく、最上流の水洗水の水質は、いつも綺麗ということになります。 いま、次の条件で、水洗に必要な水量を計算してみましょう。
- しかし、出来上がった製品が省資源・省エネ製品であっても、その製造過程で、資源やエネルギーを浪費することは許されません。表面処理工場では、環境保全対策とともに、関連する工程の省資源・省エネルギー対策も行われています。それは次のようなものです。タグ:環境保全,