(1)測定原理
誘電結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma 略してICPという)発光分析は、原子吸光分析のバーナー(約3000℃以下)の代わりに、より高温な(6000〜8000k)誘導結合プラズマ炎を用いることによって、より広範囲の測定物質を解離励起させ、発光した原子スペクトル線の波長位置から定性分析を、発光強度から定量分析を行うものです。
(2)装置
分析装置は、試料を蒸発・発光させる発光部、発光スペクトル線を分光する分光部、スペクトル線を測光する測光部で構成されています。
【図1】に、ICPプラズマ放電管の構造と働きを示します。プラズマ放電管は、石英製の3重管で、上部にコイルが巻いてあります。コイルに高周波電流を流すと高周波磁場が誘起されます。ここにアルゴンガスを流すと高温のプラズマ炎が生成します。あらかじめネプライザー(噴霧装置)で霧化された試料を、アルゴンガスに乗せてプラズマ炎に導入すると、蒸発・原子化・励起が起こり発光します。この発光スペクトルを分光・測光して分析します。
【図2】に分析装置のシステムを示しました。
(3)特徴
ICP発光分析は、原子吸光分析に較べると、はるかに多くの元素分析が可能で、重金属のほかC、P、Sなども分析できます。また同一試料中に多くの元素を含む場合も多元素同時分析が可能であるため、鉄鋼・非鉄金属工業などのほか、食品、繊維、環境、半導体などあらゆる分野に使われています。