構造部材の軽量化技術で肉抜きや中空構造化は良く使われる手段です。ここでは、中空構造化の効果を「竹の構造と強さ」の関係から解説します。<参考文献:尾田十八著、形と強さのひみつオーム社出版局>
=竹の強靭さ=
- 竹の外観的な構造は、直線状で根元がわずかに太くなる円筒構造で、さらに、ある間隔で円筒内部に節があります。
- 竹の枝を無視すると、根元部を固定支持端とする片持ばりとなっています。
- 理論は無視して、竹の構造を解説すると、
- (1)
- 竹の円筒構造は、同じ断面積の中実円柱構造物に比べて3~4倍の強度が得られる。
- (2)
- 根元が太く、先が細い竹の幹部の寸法構造は、同じ重量の構造物のなかで最大の剛性が得られる。
- このため、豪雪の季節でも竹は折れません。
- 竹には材料組成の効果もあります。表皮部に近いほど縦方向の組織が密になっており、第463回で解説したCFRP複合材料と似た強化繊維の働きが作用しているといわれています(【図1】参照)。
- このように、同じ断面積の構造材でも中空構造化させ、さらに形状を工夫することで、軽量で強い構造部材とすることができます(【図2】参照)。